『利害を超えて現代と向き合う――宗教の役割』(10) 文・小林正弥(千葉大学大学院教授)

画・国井 節

ネットの世界の問題点

政治家たちの行動にその時の心理的状況が現れ、そのような「政治における精神性」が有権者の印象を左右し、衆議院議員総選挙の結果に影響を与えた――そう前回に論じた。このように精神的・倫理的次元は、政治家にとっても、また有権者にとっても重要である。これは、日本に限ったことではない。

世界的に見ても、民主主義が動揺している。先進国でもアメリカではトランプ政権が成立し、ヨーロッパ諸国でも極右と言われるような政党の伸長が目立っているのだ。

その一つの理由は、インターネット化が進んでいることだ。若者たちをはじめ多くの人々が旧来の活字メディアよりもネット上の情報に影響を受けるようになっている。ところがそれは玉石混淆(ぎょくせきこんこう)だ。

鋭い権力批判や問題提起、情報公開が見られる半面で、フェイクニュースなどの虚偽や誹謗(ひぼう)中傷もあふれている。大きな既存のメディアの場合は、編集者がいて、一定の質の維持を図っていたのに対し、ネットの世界では誰でも情報を発信できるがゆえに、でたらめも野放しなのだ。メディア・リテラシーと言われるように、メディアの情報を吟味する能力が人々に求められるゆえんである。

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