米国、イラン間での覚書署名を歓迎する教皇とWCC(海外通信・バチカン支局)

ローマ教皇レオ14世は6月17日、バチカン広場で執り行った水曜日恒例の一般謁見(えっけん)の席上、「イランと米国の間で成立し、金曜日(19日)に署名されると言われる、覚書に関する報を満足して受け入れる」と発言した。
レバノンを含む「全ての戦線における軍事作戦の即時かつ恒久的な停止」を目指す、イランと米国間での覚書は当初、スイスで19日に署名されると伝えられていた。だが、その予想は覆され、17日にオンラインで署名された。同覚書の発効を、「忍耐ある対話と折衝による、勇気づけられる結果」と評価する教皇は、「両者間の出会いを促進し、合意を可能とした仲介諸国の尽力に謝意」を表明した。そして、「この合意が、相互信頼、中東の安全保障と安定を強化していくように」と願った。
だが、それとは反対に、「ウクライナ戦線は拡大」し、「多くの無垢(むく)の人々や救援活動者たちが殺害され、教会や文化遺産が火災によって破壊されている」と嘆き、「対話の再開と、憎悪の鎮火、そして、正義に適(かな)い、恒久的な和平」を神に祈った。
世界教会協議会(WCC)のジェリー・ピレー総幹事は18日、公表した声明文の中で、米国とイランによる覚書への署名を歓迎。「この覚書が完成した暁(あかつき)には、中東における、より大きな安定と安全保障に貢献するようにと、われわれは希望し、祈る」と表明しつつも、「歴史が思い起こさせるように、平和は署名のみでは構築できない」と戒めた。
そして、ピレー総幹事は、覚書が実行に移され、国際法、正義、人間の尊厳性の尊重のための相互責任として分かち合われることによってのみ意味を持つと主張。停戦がレバノンを含むあらゆる戦場で順守されるようにと願いながらも、「覚書が、あたかも中東全域における和平の達成であるかのように錯覚してはならない」と警告した。なぜなら、「平和は、一紛争(米国とイランの戦争)の解決だけでは到達できず」「停戦合意にもかかわらず、レバノンでは停戦違反、攻撃が報じられており」「レバノン南部にはイスラエル軍が展開したまま残り」「ガザ市民は、破壊的な人道状況に耐え忍んでいる」からだ。
さらに、ヨルダン川西岸地区と東エルサレム地区の状況にも言及し、両地区のパレスチナ人たちの状況が、「ユダヤ人入植者やイスラエル軍による攻撃、恐喝によって、急速に悪化してきている」と糾弾した。中東全域で、「戦争の悪影響、移住、占領、安全保障の欠如、政治的分断」といった現象が見受けられ、「一紛争から他の紛争へと国際世論の注意を移すだけでは、平和は構築できない」と述べた。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)





