新宗連が憲法に関する公開講座 首都大・木村教授、千葉大大学院・小林教授を講師に
新日本宗教団体連合会(新宗連)信教の自由委員会による公開講座『憲法施行から70年――基本的人権の根源にある信教の自由』が3月9日、東京・杉並区にある立正佼成会のセレニティホールで開催され、市民ら約170人が参加した。
同講座は、第二次世界大戦の前後に、多くの宗教団体が国家によって弾圧された歴史を踏まえ、社会における信教の自由の大切さと、その権利が守られた中での宗教活動のあり方について考えるもの。当日は、新宗連信教の自由委員会の本山一博委員長(玉光神社宮司)のあいさつに続き、首都大学東京の木村草太教授が『憲法と宗教』をテーマに基調発題を行った。
この中で、木村教授は、日本国憲法20条が定める「信教の自由」は、主に「内心の自由」「宗教活動の自由」「宗教的結社の自由」の三要素から構成されると説明。これらの概念は、中世末期から近代初期に欧州で相次いだ宗教戦争で、戦争を終結するために第一段階として民衆から内心の自由を剝奪した上で、次に権力による市民の権利の制約を緩める過程で、公の場での礼拝(宗教活動)、教会の設置(宗教的結社)が認められるようになったことに起因すると解説した。
こうした背景から、憲法20条に「政教分離原則」が盛り込まれた理由には、「信教の自由を担保する」「国家を宗教から守る」「宗教を国家から守る」といった三つの目的があると明示。国家権力と特定の宗教とが結びつくと、その他の宗教が不当な扱いを受けかねず、宗教団体だけでなく、国民一人ひとりの信教の自由が侵されかねないため、政教分離原則は重要な意味を持つと述べた。さらに、「特定の宗教儀式に国民の資源が費やされた場合、その信仰を持つ人以外は意味を見いだせず、公共性の観点からも問題が生じる」と指摘し、信教の自由と政教分離に関わる裁判で、裁判所から下された判例を解説した。
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