新宗連が憲法に関する公開講座 首都大・木村教授、千葉大大学院・小林教授を講師に

千葉大学大学院の小林教授

続いて、千葉大学大学院の小林正弥教授による聴衆参加の対話型講義「白熱教室」が行われた。冒頭、小林教授が各国の政教分離原則の現状を紹介。政教分離を定める国の中にも、フランスのように、公教育機関でのヒジャーブ(イスラーム教徒の女性が纏=まと=うスカーフ)の着用を禁止するなど国家の非宗教性を掲げる国もあれば、米国のように、公職に就く際に聖書に手を置いて宣誓することを認めるなど、宗教的行為は認めながらも特定の宗教宗派と権力との結びつきを回避するために、公に多様な宗教が介在することを認める国もあることを説明した。

これらを踏まえ、小林教授は、日本での権力と宗教の結びつきについて触れ、会場の参加者に向けて「憲法に定められた象徴としての天皇が、私的行為として皇室祭祀(さいし)に当たることは政教分離原則に反するかどうか」「首相の靖国神社参拝が権力と特定の宗教との結びつきにあたると思うか」といった問題を提起した。

小林教授の問いに対し、参加者は色紙を掲げ、賛成や反対といった意思を示した

参加者は色紙を掲げ、それぞれの意思を示した。皇室祭祀については、国の安寧を願う天皇陛下の祈りは、政教分離自体の問題にならないのではないかといった意見や、天皇は「国の象徴であり日本国民統合の象徴」であり、国民の総意とされているため、祭祀に対する否定的な意見を表明すること自体が難しい問いかけといった考えが出された。こうした参加者の発表を基に、小林教授を含め会場全体で、憲法にかかわる問題について主体的に議論を重ねた。

この後、小林教授は、参加者のコメントの中から、「祈り」の持つ意味を取り上げ、宗教儀礼による祈りがある一方、誰かの病気平癒や、戦争、災害の犠牲者に向けた慰霊の祈りは、自発的な奉仕の心の表れとも考えられ、必ずしも宗教が介在しなくても行われる「非宗教的な祈り」と捉えられると説明。宗教的で特定性が高く考えられがちな「祈り」にも、万人に共通する「公共性」を見いだすことができるとした。その上で、「憲法改正」を巡る議論についても、護憲か改憲かといった二項対立で考え、自分と相反する主張を打ち負かそうとするのではなく、対立する意見の中にも必ず共通の理解を見いだせるとの姿勢で向き合うことが求められていると結んだ。