WCRP/RfP日本委による平和大学講座 求められる対話とは何か

『他者と対話するとは何か――平和な社会の実現を目指して』をテーマに、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会による「平和大学講座」が3月9日、奈良・天理市の天理大学ふるさと会館で開催され、約200人が参加した。立正佼成会から同日本委理事の川端健之理事長、中村憲一郎常務理事が出席した。

冒頭、2004年から16年まで同日本委の平和研究所所長を務め、昨年11月に逝去した眞田芳憲・中央大学名誉教授を偲(しの)ぶ時間が設けられ、理事で現所長の山崎龍明・武蔵野大学名誉教授、監事の樋口美作・日本ムスリム協会理事が、眞田氏との思い出を語った。

講演に立つ天理大学の永尾学長

続く講座では、当日のテーマに沿って、天理大学の永尾教昭学長が基調講演に立った。永尾氏は、天理教パリ出張所(現・ヨーロッパ出張所)に25年間駐在していた経験を基に、欧州における昨今の移民問題に言及。各地で相次ぐテロ事件は、欧州の、とりわけ西洋の民主主義や自由主義といったキリスト教文明と、保守的なイスラーム文明との対立と捉えられがちだが、こうした事件の背景には、イスラームに対する西洋諸国の差別感情と経済格差があり、キリスト教文明圏のルールが世界のルールとして運用され、不公平感が生じていると提起した。

また、現在、対立は深刻化しており、国同士の戦争とは違って、終わりの見えない戦争になりかねないと危機感を示しながら、対立を和らげ、平和を築くには、相互理解と粘り強い対話が不可欠と強調。両者を取り持つ“行司役”として、日本の宗教者が中立的な立場から役割を果たせるのではないかと述べた。

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