人と人とのつながりが「いざ」という時、いのちを守る――信仰活動と防災力

【久留米教会】

サンガを救うフォローマップ

 

「昨日の大雨、どうやった?」

地区会員の名前が記されたフォローマップを手に、主任(71)は落ち着いた口調で携帯電話の送話口に語りかけた――。

今年7月10日、九州北部は大雨に見舞われ、久留米教会の包括地域も家屋や農作物の浸水などの被害が発生。自宅が床上浸水の被害に遭いながら、主任は翌11日から自身が受け持つ善導寺地区85世帯の会員の安否確認を始めた。

「フォローマップによる手どりのおかげで誰がどこに、どのような環境で生活しているか分かっているので緊急時の連絡もスムーズ。声を聞くと皆の顔が心に浮かび、互いにつながり合っている安心感を得られます」

フォローマップとは、教会および会員相互のつながりを深めるために、3年前から同教会が取り組む会員名簿を基にした総手どりだ。主な推進役は主任と組長で、両者がペアとなり担当地区を隅々まで歩き、会員の現状把握に努めている。会員各家の総手どりであると同時に、“サンガ(教えの仲間)の命を守る”ための取り組みとされ、大規模災害時に安否確認や生活物資の配布が円滑になされることを目的にしている。

新型コロナウイルス感染症の法的位置づけが5類になった5月以降、同教会は毎月10日に「ふれあいデー」を展開。教会道場と大牟田、朝倉、荒尾(当時)の3地域道場をインターネットで結び、読経供養、ミニ説法、研修、廣澤清江教会長の「かみしめの言葉」の後、支部長、主任が各地区を手どりに歩く。夕方には各道場に戻り、訪問先で得た気づきや喜び、反省点を共有し、さらなる布教につなげていくのが特長だ。

市街地から山間部まで包括する三井支部では、お役者の高齢化や会員宅が遠隔地にあるため、なかなか手どりが進まなかった。しかし、ペア制を敷くことになって以降、若手の組長が活発に地区の会員を訪ねて回るようになった。

「ベテランの主任さんと連れ立って歩くことで、若手組長さんは手どりの心得を学び、作法を身につけます。そのおかげで、普段から計画を立て意欲的に手どりに歩く組長さんが増えました。フォローマップは新たなリーダー育成にもつながっています」と支部長(53)は話す。

同マップの“生みの親”であり、着任先の全教会で導入した廣澤教会長は、こう説明する。

「『誰が誰の手をとるのか』を明確にすることで、信者さんとのつながりが密になります。それは災害時、被災状況の把握や支援、つまり信者さんの命に直結します。長いコロナ禍を経て、皆さん、対面で手どりのできる有り難さが身に染みています。生きがいを心に発起させるのが、手どりの功徳です。“どうしたら相手の救いにつながるか”を念頭に置き、皆さんとこの取り組みをさらに充実させたいと思っています」

久留米教会の包括地域は福岡、熊本、佐賀3県の12市7町に及ぶ。また近年、久留米市では豪雨被害が多発する傾向にある。広域な包括地域に頻発する風水害に鑑み、同教会は現在、会員の居住地を校区ごとにマップ化するとともに自治体の避難場所を確認。市町村の防災体制に合わせた布教環境づくりに取り組む。