法燈継承30年(2) 会長就任10年~20年の庭野会長の歩み
庭野日鑛会長が、立正佼成会を創立した庭野日敬開祖から会長位を受け継ぎ、法燈を継承してから11月15日で30年を迎える。30年の足跡を10年ごとに振り返り、法話と共に紹介する。第2回は、2001年11月からの10年間。
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2001(平成13)年の米国同時多発テロ事件の世界への影響は翌年以降も続いた。「平成14年次の方針」の中で庭野会長は、「まことに、怨(うら)みは怨みによっては消ゆることなし。怨みは怨みなきによってのみ消ゆるものなり」という『法句経』を引用し、宗教の智慧(ちえ)と柔和忍辱の心で精進に励む大切さを示した。
03年も年初から、米国などによるイラクへの攻撃が懸念され、本会では平和的解決に向けた祈りと行動が展開された。イラクへの攻撃が始まった際には、庭野会長が緊急談話を発表し、非暴力による平和の実現を訴えた。また、この年の「信行方針」をはじめ「ご命日」などの法話の中で、聖徳太子の十七条憲法第一条「和を以(もっ)て貴(たっと)しと為(な)す」を引用し、「和の精神を真剣になって追求し、伝道していかなければならない」と繰り返し述べた。
04年には、「斉家(せいか)」(家庭を斉=ととの=える)の必要性を強調。日々の具体的な実践として「三つの実践」を示した。10月に発生した新潟県中越地震では、被災地を訪れて避難生活を送る会員を激励した。
06年の「開祖生誕100年」を前に、大聖堂の改修工事をはじめ開祖記念館建設などの記念事業が進められた。その一環として庭野会長の「全国布教」が04年12月から05年にかけて43会場で行われ、教会幹部ら延べ3万2000人以上と結縁(けちえん)。各会場で庭野会長は「信仰新生」に言及し、「万人が救われるように」という釈尊の願いを実現するため仏教を世界に知らしめていくことが「平和的使命」と説いた。
「開祖生誕100年」を迎えた06年、庭野会長はさまざまな記念行事で法話に立ち、真理を認識する大切さやいのちの尊さを説示。自らの信仰を振り返り、深める機縁にすることが大切と語った。
07年は総合目標『一人ひとりの心田を耕す佼成会』が打ち出されて10年の節目を迎え、庭野会長は翌年の教団創立70周年を機に「全会員へのご本尊およびご法号勧請」の実施を明示した。08年3月5日、大聖堂の創立記念式典で法話に立った庭野会長は、改めて心田を耕す大切さを強調し、ご本尊勧請の意義を説明。「釈尊のお像をお参りする、あるいはお像の前に跪(ひざまず)くということは、実は真理そのものをお参りする、真理の前に跪くことに等しいと言えます。私たちはこの真理をいかに本当に頂くかということが大事」と述べた。
09年、「御親教」で本会の所依の経典「妙法蓮華経」の象徴である蓮の花に言及した庭野会長の「お言葉」を受け、大聖堂周辺に蓮の花を鑑賞できる環境づくりが進められた。
同年12月、「ARMS DOWN! 共にすべてのいのちを守るためのキャンペーン」がスタート。本会でも青年部員を中心に核廃絶や軍縮に向けて活発な署名活動が展開された。翌10年9月、奈良の東大寺大仏殿前でキャンペーンの終了式典が行われ、庭野会長が世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会理事長としてあいさつ。青年たちの10カ月に及ぶ取り組みをたたえ、「本当に世の中を変えるのは、一人ひとりの人間による、粘り強い、無私の行為」であるとし、青年の活躍に期待を寄せた。
11年3月11日、東日本大震災発生。教団本部は同日、東日本大震災対策本部を設置した。庭野会長は3月26日から29日まで、岩手、宮城、福島の3県を訪れ、会員を励ました。
一方、この10年間、国内外の諸宗教協力に尽くした。特に「米国同時多発テロ事件」以降の国際的な緊張が高まる中、諸宗教者と意見を交わし、紛争解決や平和構築に努めた。
04年に新日本宗教団体連合会(新宗連)理事長に就任。WCRP/RfPでは国際委員会会長、同日本委理事長を務めた。06年8月26日から29日まで、WCRP/RfPの「第8回世界大会」が36年ぶりに発祥の地である国立京都国際会館で開催され、同日本委理事長の庭野会長は、受け入れ国の総責任者として尽力した。