WCRP日本委とJAR 5年目を迎えた「シリア難民留学生受け入れ事業」 24人が来日し、定住に向け支援進む

シリア人留学生 アブダッラさん(21)

アブダッラさん

シリアで内戦が起き、次第に戦闘が激しくなり、身の危険を感じてイエメンに避難しました。ただ、イエメンでも戦闘が起き、その後、いくつかの国に逃れて、トルコにたどり着いたのが2018年です。

トルコでは多くのシリア人が避難生活を送っています。しかし、難民は勉強の機会や就労に制限があるため、私は夢を断たれ、「もう、どうすることもできない」と人生に絶望していました。

そんな暗い心に光を照らしてくれたのが、JARとWCRP日本委員会による「留学生受け入れ事業」でした。私は子供の頃から日本の文化や技術の素晴らしさをよく聞き、憧れを持っていました。また、イエメンにいる時には日本のアニメを日本語で見ていたこともあり、「必ず日本に行く」と自分に言い聞かせて、面接に臨みました。

実際に合格を知った時は、心の底からうれしさが込み上げました。そして、飛行機で日本に着いた時には、言葉にならないほどの感動に包まれました。

2019年に来日したシリア難民の留学生(写真中央はアブダッラさん)=JAR提供

来日後は、千葉県にある日本語学校に通い、パン工場でのアルバイトで生活費を稼ぎながら、2年間、日本語の習得と大学受験の勉強に取り組みました。慣れない環境での生活は、本当に大変でした。でも、どんなにつらく、苦しく、寂しくても、家族の元に帰るわけにはいきません。やっとつかんだチャンスを、簡単に捨てることはできないからです。

シリアを離れてからの避難生活では、学校に通えない時期もありました。また、国によって教科書の内容が違うために学んでいない教科内容もあり、受験勉強ではたくさんの課題を抱えていました。そもそも日本語は難しく、課題を克服しながらの勉強はとても苦労しました。でも、学校での授業に加え、時々、ボランティアの方がオンラインで家庭教師をしてくださったおかげで頑張れました。シリアでの戦争や避難生活で一度は人生の絶望感を味わったものの、チャンスに恵まれ、大学に合格できた時には、ようやく絶望の壁を乗り越えたことを証明できたと思えました。失っていた未来を手にした感覚になれたのです。

今年4月から、関東にある大学に通っています。日本での生活も3年目を迎えました。環境にまだ慣れないこともありますが、「人工知能(AI)の発展に寄与する」という夢を実現するために、日々、勉強に励んでいます。留学生受け入れ事業は私だけでなく、トルコにいる多くのシリア人にとって、人生を切り開き、夢をかなえるチャンスを与えてくれるものだと確信しています。

人生に悲観していた私が、不可能だと思っていたことを実現できているのは、家族をはじめ、JARとWCRP日本委員会の方、これまで私を支えてくれた多くの人のおかげです。心から感謝しています。

将来、日本でAI技術の発展に貢献するため、これからも全力で頑張ります。