シェアハウスこうじゅ(関西光澍館)開所から1年 仕事や住まいを失った人の生活再建を支援して 

共用スペースでの茶話会。入居者同士の交流の場として行われている(写真提供=大阪希望館)

仕事や住まいを失った人の生活再建を支援する共同住宅「シェアハウスこうじゅ(関西光澍館)」(有料)が2月1日、開所から1年を迎えた。

立正佼成会豊中教会の敷地内にあり、2018年に閉鎖された関西光澍館の2、3階部分が生活困窮者支援に取り組む一般社団法人・大阪希望館に貸し出され、運営されている。本会も加盟する関西光澍館運営協議会が事業を監督する。

これまでに44人が入居 新型コロナウイルスの感染拡大の影響も

大阪希望館は昨年1月から、同館ウェブサイトに入居案内を掲載してメールと電話による相談をスタートさせ、翌2月1日にシェアハウスこうじゅを開所した。入居対象者は、住まいを失い、一般の賃貸物件を借りるために必要な初期費用や緊急連絡先がない人、また、公的な社会保障を受けるには至らないものの、援助や見守りを必要とする高齢者や精神疾患を抱える人など。本人からの直接の入居相談に加え、役所や社会福祉協議会といった行政機関からの要請にも応じている。

本会豊中教会の敷地内に建つ

これまでの入居者は44人。昨年4月下旬から8月までは、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で住まいを追われた人からの相談が急増した。もともと非正規労働など低賃金で不安定な条件の下で働いていた人たちが多い。

30代の派遣社員の男性は、内定していた派遣先が操業を休止し、職を得られないまま家賃を滞納して退去となり、5月に入居した。その後、飲食宅配の仕事で貯金し、転居した。また、ネットカフェに寝泊まりしながら働いていた別の30代男性は、勤務先の工場が操業縮小となって収入が減り、宿泊費を賄えなくなった時に、自ら大阪希望館にメールで相談し、支援につながった。

共同住宅の家具は、全室(40室)備え付け。緊急の場合は即日入居して生活ができるよう、布団や炊飯器など生活用品の貸し出しや一時的な食品の提供も行う。日中は生活支援員が滞在し、必要に応じて、見守りや生活相談、家計管理、服薬管理、相談機関と入居者間の連絡調整などの支援を行う。

個室には、ベッドや机などの家具が備え付けられている

現在は、20代から80代までの30人が入居。内訳は多い順に、生活保護受給者、非正規労働者、年金受給者、事故賠償金や緊急小口貸付で生計を立てる人などだ。不動産会社や就労支援機関とも連携を図り、転居や再就職の支援にも取り組む。

入居者同士の交流を図るため、高齢の入居者を対象とした茶話会を開催。このほか、緊急避難時の要支援者リストを作成し、入居者に援助を要請するといった助け合いの仕組みも作られている。

一方、入居者による地域活動や豊中教会との交流は、同ウイルスの影響で中止されている。

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