地域の非営利団体に協力する「一食地域貢献プロジェクト」(2) NPO法人「たんぽぽ」(立川教会が支援)

シフォンケーキの甘い香りが喫茶店内に立ち込める。客の注文を受け、障害のある店員がケーキをテーブルに運ぼうとすると、「気をつけてね」と店長の藤本勝行さんが優しく声をかける。

東京・立川市にあるNPO法人「たんぽぽ」。障害者との共生社会の実現を目指した「障害者総合支援法」に基づき、障害者が一般就労できるよう訓練を行う事業所である。喫茶たんぽぽ(立川店と国立店の2店舗)を運営し、接客や調理などを指導するほか、併設の作業所で手芸製作やパソコン操作の介助事業を展開。現在、障害のある26人が登録しており、6人の指導スタッフに見守られながら一日平均15人が作業にいそしんでいる。

障害のある人の社会参加を後押し

1991年の発足当時から介護スタッフとして運営に携わり、現在は代表を務める藤本さんは、喫茶店運営の成果を次のように語る。「障害者がお客さまと触れ合い、他の従業員と協働することで、経済的・精神的な自立が促されます」。

一日に30人から50人ほどが来店する同店では、東ティモールやルワンダなど開発途上国で収穫され、適正な価格で輸入されたフェアトレードのコーヒー豆を9種類そろえており、客の注文のたびに豆を挽(ひ)いて入れる。他にも、パスタやピザトーストなどを手作りし、日替わりの定食やケーキなども材料にこだわって提供する。また、店内で展示販売される布製のバッグ類や小物も障害のある人が製作している。

喫茶たんぽぽに4年前から勤務する20代の女性は、「お客さまの喜ぶ笑顔が見たくて、接客姿勢やコーヒーの入れ方に気をつけています。訓練を重ねて、いつかは一般企業で働きたい」と希望に胸を膨らませる。

藤本さんは、「今の日本は、長引く不況の影響で、自分のことに精いっぱいで他人に無関心にならざるを得ない状況」と指摘する。その上で、「たんぽぽを通して障害者の存在を知り、他者に思いやりをかけるきっかけにしてもらえたらうれしい。この店を地域の人たちにかわいがってもらいながら、これからも障害のある人たちが社会に出ていかれるよう、支援していきたい」と語る。

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この企画では、立正佼成会「一食(いちじき)地域貢献プロジェクト」が支援する団体の活動を紹介する。

一食地域貢献プロジェクト

「一食を捧げる運動」の浄財の一部を全国各教会が主体的に活用し、地元のニーズに応えて活動する非営利団体の支援を通して、温かな地域づくりに協力している。なお、「一食を捧げる運動」とは、月に数回食事を抜く、あるいはコーヒーなどの嗜好(しこう)品を控えて、その食費分を献金して国内外の諸課題に役立てる取り組み。
http://www.ichijiki.org