本会「一食研修ツアー ミャンマー事業」の一行が現地視察 教育の充実に生かされる浄財
SVAの移動図書館事業 子供の情操と思考力の向上目指す
9月18日、一行は本会が助成するSVAの活動を視察するため、バゴー県に移動した。SVAは、教育環境が整っていない同国中央部にある東バゴー地域の公共図書館を拠点に移動図書館事業を展開している。2018年の事業開始からこれまでに、一食平和基金の支援によって日本から寄贈され、ミャンマー語の翻訳が施された絵本は750冊以上に上る。現在、それらが収蔵された14の図書館から、定期的に絵本を三輪バイクで地域内の15の小学校に運び、児童への絵本の貸し出しや読み聞かせを行っている。子供の情操を伸ばし、考える力を高めることが目的だ。
一行はSVAスタッフ、バゴー県立図書館職員と共に移動図書館の三輪バイクに同行し、2時間ほどかけてミョーティッ小学校を訪れた。その敷地内に入ると、200人以上の児童から拍手で迎えられた。団員たちは「一食を捧げる運動」について説明し、絵本の読み聞かせを見学した。
一人の教師が絵本『おおきなかぶ』を手に取り、児童たちの前で朗読し始めると、かぶを家族総出で畑の土から引っこ抜く絵本の内容に合わせ、児童が一人ずつ前に出てきては、教師の後ろに並んで一斉に声を掛け、協力してかぶを抜く動作を繰り返した。団員もその列に加わった。場内に笑みがあふれた。
教師のメイ・ノエ・スさん(32)は、「移動図書館の絵本を子供たちは夢中で読んでいます。読み聞かせの中で行う手遊びなども楽しんでいます。それによって子供たちの『考える力』『聞く力』が伸び、同級生や先生とのコミュニケーション能力が高まっていると感じます」と語った。
一行は、折り紙やダンスを披露し、児童たちと交流。さらに移動図書館を利用する児童の家庭を訪問し、意見を交わした。
翌19日には、タナピン郡図書館から出発する三輪バイクに同行し、パーイェーアーシェ小学校での移動図書館活動を視察した。同校児童のマオ・ミャン・メン君(8)は、「絵本のお話の内容から、友達と仲良く助け合う大切さを学びました。今は同級生と一緒に絵を描く時が一番楽しくて、自動車の絵をよく描きます。将来は自動車のエンジニアになりたい」と話した。
SVAスタッフのメン・ウィン・コ・コ氏(27)は、「子供たちは絵本を通してさまざまな世界を知り、異文化や平和への思考を育んでいます。ミャンマーは民主化に向けて大事な転換期を迎えていますが、この社会の未来を担うのは今、教育を受けている子供たちです。一食を捧げて貴重な浄財を提供し、私たちの活動を支えてくださる立正佼成会の会員の皆さまに感謝の思いでいっぱいです」と語った。