特集・庭野平和財団設立40周年(2) 助成財団センター理事長の山岡氏に聞く

平和の文化を醸成し続け

特に設立40年で成し遂げられたことの一つは、「小さな国際交流をたくさん育ててきたこと」でしょう。大規模な交流も大切ですが、国や大組織レベルの交流は配慮すべきことも多く、建て前になりがちです。フォーマルな意見交換しかできない場合も少なくありません。肩書にとらわれずに個人が自由に、人間同士の付き合いをするためには、小さな交流が必要です。宗教とは個々人の信仰を深めていくことが重要でしょうから、世界の平和を願う個人単位の小さな交流の場づくりが、より一層求められると思います。

助成財団センターの山岡理事長

ただし、平和や友好を目的とした国際交流において、成果は、目には見えにくいものです。その大切さを実感するのは、残念ながら平和が崩れた時です。「失敗した。平和のために頑張れば良かった」と後悔する場合でしょう。あるいは、戦争が終結する時に、平和の尊さを感じるでしょう。国際交流は信頼関係を醸成するものですから、何も起こらないことこそ最大の成果とも言えるのです。

庭野平和財団は、日常の中に、平和の文化をつくっていくという目に見えない活動を地道に続けてこられました。庭野平和賞の贈呈もそうですが、宗教や宗派の違いを超えて世界の平和をつくるという姿勢を貫き通してこられたところに、庭野平和財団が40年間築いてこられた信頼性があります。これは立正佼成会への信用にも直接つながってきたことでしょう。

これまでの活動を通して、世界中のさまざまな方たちとのつながりが育まれてきたことでしょうが、こうしたつながりを生かし、これまで通りの姿勢で一歩一歩新しい動きをつくり出していって頂ければと願っています。

プロフィル

やまおか・よしのり 1941年、旧満州(現・中国東北部)生まれ。都市計画の研究や実務についた後、77年から92年までトヨタ財団に所属し、プログラムオフィサーを務めた。96年に日本NPOセンターの設立に携わり、NPO法人制度の実現に尽力した。現在、助成財団センター理事長、市民社会創造ファンド運営委員長。法政大学名誉教授でもある。