核廃絶に向けて 宗教の役割を考えるシンポジウム 上智大学で

諸宗教者の役割が条約の下支えに

条約が成立するまでの一連の議論の中で、宗教者が果たした役割は大変大きなものがありました。中でも、ローマ教皇は非常に熱心に核兵器の廃絶を訴え、会議を開催し、核兵器の非人道性を訴えるプロセスを大いに応援してくださいました。教皇のご発言の一つ一つが、ものすごい数の人の心を奮い立たせ、「核兵器反対」という熱のこもった世論を世界各地でつくり出したのです。

日本社会における宗教の位置づけは独特ですから、一人の宗教指導者の発言によって国内の状況が大きく変わるということは、すぐには起きないかもしれません。しかし、いわゆる「一声」という形でなくても良いと思うのです。この社会の隅々で、宗教者は、人々の善悪の認識に非常に重要な影響を与えることができます。

この新しい条約をつくるために、下支えとなってきた諸宗教の行動を学び、その思いを引き継いで多くの人に伝えていって頂きたい。核兵器をめぐる価値観を転換させる活動に、一人ひとりが自分の問題として取り組んで頂きたいと思います。私たちは核兵器を世界からなくし、“正常”を取り戻さなければなりません。

【次ページ:立正佼成会軍縮担当アドバイザー・神谷昌道氏】