「一食ユニセフ募金」40年 早水研・日本ユニセフ協会専務理事からのメッセージ
ユニセフは、国際児童年に当たる1979年に、立正佼成会とのパートナー関係を樹立しました。それ以来、長年にわたり「一食(いちじき)ユニセフ募金」を通じて、皆さまから69億円を超える浄財をお預かりしています。皆さまと歩んできた40年、たくさんの時間や価値を共有し、今日を迎えられたことをうれしく思います。
会員の皆さまは、自らの一食分を抜いた食事代を、紛争や貧困などに苦しむ世界の人々のために献金する「一食を捧げる運動」を実践しておられます。また運動に込められた「同悲」「祈り」「布施」の尊い精神を基にした「一食ユニセフ募金」として、街頭募金やバザーを通じて市民の方々に協力を呼び掛けてこられました。
私も5年前の「青年の日」に、次代会長の光祥さまや会員の皆さまと一緒に街頭募金に立たせて頂く機会がありました。その時、道行く人に世界平和の大切さを訴える、皆さまの真摯(しんし)なお姿に感銘を受けました。支援先の子どもたちに対する、深い思いやりの心が感じられ、まさに皆さまの募金活動は、仏教でいう「慈悲」の行いそのものだと身に染みて思いました。
一方、ユニセフでも支援活動の根底にある基本的な考え方として、他者への思いやりがあり、それは弱者に対する「共感」と言い換えることもできます。
「全ての子どもたちにとって生きやすい社会は、誰にとっても暮らしやすい世界になる」――困難な状況に陥っている世界の子どもたちは、私たちと同じ地球に住む「地球市民」であるとの観点に立ち、これまで最も支援の届きにくい国や地域の子どもたちを最優先に支援活動を続けてきました。その国や地域は、190に上ります。
立正佼成会との合同によるプロジェクトについても、アジアやアフリカ、中米地域など30カ国以上で、全ての子どもの権利を守るための活動を展開してきました。さらに、現地の宗教指導者と協力して、人権を無視した通過儀礼や、伝染病の感染を防ぐための葬儀慣習などの改善を促すことで、子どもたちを取り巻く環境を変える活動も行ってきました。そうした活動を効果的に展開できたのも、「慈悲」や「共感」という言葉の根底にある思いやりや、分かち合いの精神を、立正佼成会とユニセフの双方が共有してきたからだと思うのです。