バチカンから見た世界

バチカンから見た世界(144) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

3宗教間の融和なくして中東和平は実現できない(3)―イスラエルのユダヤ人国家宣言―

バチカンは、中東紛争の「唯一可能な解決策としての2国家原則」を主張し、すでにパレスチナを国家として承認している。主要7カ国(G7)も11月8日、東京での外相会議で、「イスラエルとパレスチナが共存する『2民族2国家解決策』が平和につながる唯一の道だという立場を共有した」(8日現在、共同通信社=47NEWS)。

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バチカンから見た世界(143) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

3宗教間の融和なくして中東和平は実現できない(2)―中東カトリック指導者の糾弾―

イスラエルとパレスチナ領ガザ地区を実効支配するイスラーム過激派組織ハマスとの間で戦闘が始まってから、40日(11月15日現在)が過ぎた。伊カトリック司教会議通信社「SIR」によると、カトリック教会の聖地(エルサレム)管理局のイブラヒム・ファルタス神父は、「私たちアラブ人は、40日後に死者を追悼する」「ユダヤ人が、約束の地に到着するまでに、シナイ半島の砂漠を放浪したのは40年間だった」「キリストが砂漠で孤独、飢え、誘惑と闘ったのは40日間だった」「(イスラエル軍が2002年のインティファーダ=抵抗運動=で蜂起したパレスチナ人戦闘員を捕獲するために)キリストの生誕教会を包囲したのは40日間だった」と指摘し、“40”という因縁に沿ってイスラエルとハマス間での戦闘が終われば、それは「神からの恩恵だ」と願望を表明したという。

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バチカンから見た世界(142) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

3宗教間の融和なくして中東和平は実現できない(1)

パレスチナ領ガザ地区を実効支配するイスラーム過激派組織ハマスが10月7日、イスラエル領内に向けて5000発とも報じられた(イタリアのメディア)ロケット弾を発射した。イスラエル軍は、報復としてガザ地区を空爆した。双方の死者は2100人以上(11日現在、共同通信社=47NEWS=)に上る。同国のネタニヤフ首相は、「われわれは戦争状況にある。敵は、かつてない代償を払う」と声明を明かした。

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バチカンから見た世界(141) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

バチカンのやまない核兵器廃絶アピール

9月26日は、国連が定める「核兵器の全面的廃絶のための国際デー」だった。ローマ教皇フランシスコは同日、9カ国語で発信される自身のX(旧ツイッター)アカウントを通し、「核兵器の保有は非倫理」であるとの確信を再表明するメッセージを投稿。教皇ヨハネ二十三世が公布した歴史的な平和回勅『地上の平和』(1963年)を引用しながら、「予測できない出来事が、(核兵器の)軍事態勢を始動させることも除外できない」と警告した。そして、核兵器禁止条約(TPNW)の批准国を増やすことで、「この『死の道具』を廃絶し、核兵器のない世界を構築するために努力していこう」とアピールした。

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バチカンから見た世界(140) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

ウクライナ侵攻後の世界は分断されていくのか

現代史は、人類が戦争と破壊の廃墟(はいきょ)から立ち上がろうと「世界平和」を希求するたび、必ずと言っていいほど裏切られてきた道程といえる。

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バチカンから見た世界(139) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

「ナクバの日」に中東和平を願う宗教者たち

ローマ教皇フランシスコは5月14日、日曜日恒例であるバチカン広場での正午の祈りの席上、悪化する中東地域での紛争状況に対する憂慮を表明し、「ここ数日間、イスラエル人とパレスチナ人との間に新たな武力衝突が発生し、女性や子供など無実の人々が命を失っている」と述べた。

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バチカンから見た世界(138) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

ウクライナ和平調停を目指すバチカン外交

ウクライナのゼレンスキー大統領は5月13日、バチカンを訪問し、40分にわたりローマ教皇フランシスコと会見した。バチカンが公表した声明文によれば、両指導者は「長引く戦争によって発生した人道、政治状況をテーマに懇談」したとのことだ。

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バチカンから見た世界(137) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

教皇のハンガリー訪問――戦争の独奏者と欧州の統一理念

ローマ教皇フランシスコは、4月28日から30日までハンガリーを訪問した。28日、首都ブダペストに到着した教皇は、すぐにノヴァク・カタリン大統領と会見。大統領府の記帳書に、「巡礼者、友人としてハンガリーに来ました。ハンガリーは、歴史と文化に富んだ国です。橋と聖人の町であるブダペストから欧州全土に思いを馳(は)せ、一致、連帯した欧州が、今でも平和と受け入れの家であるように願います」と記し、ハンガリー訪問の意義を伝えた。

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バチカンから見た世界(136) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

紛争が絶えないミャンマーよ、どこへ行く

1948年にビルマ連邦として英国領から独立したミャンマー。しかし、その前年には独立運動の指導者であったアウンサン将軍が暗殺され、独立直後には、少数民族のカチン族が分離独立運動を展開し、アウンサン将軍を総書記として結成された共産党が政権を離脱した。

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バチカンから見た世界(135) 文・宮平宏(本紙バチカン支局長)

植民地主義とカトリック教会――バチカンの見解

15世紀のスペインやポルトガルなどを中心とする欧州の列強諸国は、当時のローマ教皇の権威をも利用しながら、キリスト教が伝播(でんぱ)していない新大陸の「征服」を奨励し、先住民の土地や富を奪い、彼らをキリスト教に改宗させる政策を施行していった。こうした、欧州、白人人種、文化、宗教の優越性を主張する植民地主義は、16世紀以降に「新大陸発見の教説(ドクトリン)」と呼ばれ、定着した。

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