大聖堂はじめ全国で「戦争犠牲者慰霊・平和祈願の日」式典

72回目の終戦記念日を迎えた8月15日、大聖堂(東京・杉並区)はじめ立正佼成会の全国各教会で「戦争犠牲者慰霊・平和祈願の日」式典が行われた。大聖堂には、会員約2000人が参集。第二次世界大戦をはじめとする全ての戦争犠牲者に哀悼の誠を捧げ、現在も各地で続く紛争やテロの早期終結、恒久平和を祈念した。

大聖堂では、東京東支教区の学生部員16人による奉献の儀の後、読経供養が行われ、導師をつとめた庭野光祥次代会長が庭野日鑛会長の回向文を奏上した。

この中で、憲法を基に戦争のない豊かな国へと発展し、国際社会に貢献してきた戦後の日本の平和国家としての歩みに触れ、「私たちはどんな平和な世にあっても常に国家の治乱興亡の歴史を忘れず、先賢に学び、怠ることなく地道に前進してまいります」と表明した。その上で、平和な未来を創造するために、戦争の体験談や平和への願いを子々孫々まで語り継ぎ、明るく、優しく、温かい、人間本来の心で精進することを誓った。この後、光祥次代会長は焼香を行い、折り鶴を奉納した。

次いで、会員代表(81)=墨田教会=が体験説法に立った。

72年前、当時小学2年生だった会員は、10万人の市民が一夜で犠牲となった東京大空襲に遭遇。米軍爆撃機B29の来襲で東京は火の海となり、四方を火に囲まれた会員は、木造の民家や商店が次々と焼け落ちる中を兄と2人で逃げ惑った。明け方になると、町は静まり返り、道路のあちこちに遺体が横たわる光景を目の当たりにした。家族は無事だったが、生家は全焼し、多くの知人を失った。

当日、聖壇上で、空襲の状況や自らの体験をつぶさに語り、「私たちは過去を真剣に受けとめ、多くの犠牲の上に今の平和が成り立っていることを忘れてはならない」と訴えた。

続いて、庭野会長が焼香を行い、折り鶴を捧げ、法話に立った。この中で庭野会長は、戦後、核兵器廃絶を訴え続けた湯川秀樹博士の「まがつびよ ふたたびここに くるなかれ 平和をいのる 人のみぞここは」という歌が広島市の平和記念公園内の歌碑に刻まれていることを紹介。その上で、「世界平和の実現には、日常生活で『親孝行』『先祖供養』『菩薩行』を心がけ、感謝の気持ちを忘れないことが大事」と強調した。また、一人ひとりの生命(いのち)は宇宙のあらゆるものから恩恵を受けて、生かされていると明示。食べ物を粗末にしないといったことを心がけ、感謝の生活が親孝行にもつながると説いた。さらに、次代を担う青少年に向けて、「法華経の教えをしっかりと学び、なぜ苦悩が生じたり、滅したりするのかをしっかりと学び、充実した人生を過ごしていってほしい」と語り掛け、期待を寄せた。最後に、参加者全員で唱歌『ふるさと』を合唱した。