〈ひと〉ACRP事務総長に就任した根本信博さん(61)

北京で先ごろ開催されたアジア宗教者平和会議(ACRP)執行委員会で、事務総長に選任された。日本人の事務総長としては3人目になる。「先達の精神を絶やさないよう、諸宗教間の対話・協力に力を注ぎたい」と心を込める。

ACRPは、世界に六つある世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)の地域委員会の一つ。1976年にシンガポールで開かれた第1回ACRP大会を機に、世界に先駆けて創設された。現在、21カ国が加盟する。

ACRPの原点は、この大会での出来事にあると根本氏は言う。会議中、インドシナ難民が近海に漂流し、各国政府が手をこまねいている中、大会参加の宗教者が救援活動に乗り出したのだった。「行動が伴わない対話は、会話だけの交流になりがちです。宗教者として具体的実践をし続けることが重要」とかみしめる。

77年に立正佼成会の教育機関である学林に入林。80年以降、国際自由宗教連盟(IARF)や国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)に出向し、海外での宗教協力や紛争地域での難民救援などの活動に携わった。そうした経験から、信頼醸成には、相互に違いを認め合い、心を開いて対話することが重要だと実感した。

「understandは本来、相手の下に立って理解するという意味です。相手の上に立つから対立が生まれます」。仏教徒として常不軽菩薩の姿を胸に刻む。

ACRPは現在、2014年に韓国・仁川で行われた第8回ACRP大会の宣言文に沿って、アジアや世界の諸課題の解決に向け、「行動する宗教」を志向する。事務総長として歩を進め、貧困や差別、格差など構造的暴力に苦しむ人々が、自らの尊厳を回復できるよう教育の支援に取り組みたいと考えている。最近、ブログも始めた。平和について多くの人と共に考えたいとの思いからだ。

「悩み苦しむ人に直接会うことで、さまざまな問題は決して人ごとではなくなります。勇気と情熱を持ってさまざまな現場に足を運びたい」

根本事務総長オフィシャルブログ
https://rfpasiablog.wordpress.com/