比叡山宗教サミット30周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」

比叡山延暦寺で世界平和の祈り

比叡山延暦寺での「世界平和祈りの式典」

翌4日午前には、国立京都国際会館で「分科会」を実施した。『核廃絶と原子力問題を考える』をテーマとした分科会1では、杉野恭一・WCRP/RfP国際委副事務総長が基調発題を行い、今年7月に成立した核兵器禁止条約の意義を詳述。これを受け、4カ国5人の宗教者がパネリストとして見解を発表した。

『貧困の追放と教育の普及』をテーマとした分科会2では、ナイジェリア・アブジャ大司教区のジョン・オナイエケン大司教(枢機卿)の基調発題を受け、5カ国6人の宗教者が発言。識字率と貧困の因果関係、貧困を解消するための教育プログラムの必要性、さらに宗教者が取り組むべき貧困防止活動などの意見が示された。

午後には、比叡山延暦寺境内の特設ステージで、「世界平和祈りの式典」が挙行され、約1300人が参加した。

「比叡山メッセージ2017」を読み上げる庭野会長

式典では、子供たちによる「平和の鐘」の鐘打に合わせ、参加者が「平和の祈り」を捧げた後、主催者を代表して同会議名誉議長の森川宏映第二百五十七世天台座主があいさつ。日本国憲法前文にある「理想」に向けて努力することが団結と連帯を強めるとし、「世界を覆いつつある『排除と孤立』ではなく『相互理解と連帯』こそが人類に平和と繁栄をもたらす」と述べた。

この後、同会議名誉顧問の庭野会長が同サミットで採択された「比叡山メッセージ2017」を紹介。30年前の同サミットで表された「比叡山メッセージ」から、「宗教者は常に弱者の側に立つことを心がけねばならない」との文言を引用し、宗教者が絆を強め、「忘己利他(もうこりた)」の精神で平和の実現に向けて献身することを誓った。