比叡山宗教サミット30周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」
比叡山宗教サミット30周年記念「世界宗教者平和の祈りの集い」(主催・日本宗教代表者会議)が8月3、4の両日、京都市の国立京都国際会館、滋賀・大津市にある天台宗総本山・比叡山延暦寺などを会場に開催された。集いでは、基調講演、シンポジウム、分科会を通して現代の諸課題を見つめ、世界平和の実現に向け、祈りが捧げられた。同会議名誉顧問として立正佼成会の庭野日鑛会長、同常任委員として庭野光祥次代会長が出席。4日の延暦寺での「世界平和祈りの式典」では、庭野会長が「比叡山メッセージ2017」を読み上げた。
1986年、ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世が世界の宗教者に呼び掛け、イタリア・アッシジで「アッシジ平和祈願の日」が開催された。この精神を引き継ぎ、翌年、山田惠諦第二百五十三世天台座主の提唱で、日本宗教連盟加盟5団体を中心に構成される「日本宗教代表者会議」を主催団体に第1回の「比叡山宗教サミット」が行われた。以来、毎年、天台宗国際平和宗教協力協会などの主催により「世界平和祈りの集い」が催され、国内外の諸宗教者による祈りが捧げられてきた。
現代の課題に対する宗教者の役割を見つめ
30周年の節目となる今回のテーマは、『今こそ平和のために協調を――分裂と憎悪を乗り越えて』。国立京都国際会館での開会式典には、海外18カ国の諸宗教代表者を含む約2000人が参集した。
開会や歓迎のあいさつ、来賓祝辞に次いで、ローマ教皇、世界仏教徒連盟会長、世界イスラーム連盟事務総長のメッセージが発表された。続いて、『アッシジから比叡山へ 東西の祈り30年を振り返って』をテーマに、聖エジディオ共同体のアルベルト・クワトルッチ事務局長が講演。壇上のスクリーンには、諸宗教協力を進めたローマ教皇パウロ六世とヨハネ・パウロ二世、山田天台座主、本会の庭野日敬開祖の写真が映し出され、「共存と平和の学校」と言われるまでになった諸宗教対話・協力の歩みを振り返った。
この後、『分裂と憎悪をどうしたら乗り越えられるか』と題して明石康・元国連事務次長が、『暴力的過激主義に宗教者はどう立ち向かうか』と題してウィリアム・ベンドレイ世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際委事務総長が、それぞれ基調講演を行った。両氏は、反民主的ポピュリズムや暴力的な宗教的過激主義が広がる現状に対し、対話を基にその原因を探り、解決に向けてあらゆる協力を進めていく必要性を訴えた。
基調講演を受けて、『テロと宗教――暴力的過激主義に宗教者はどう立ち向かうか』をテーマにシンポジウムを実施。イスラーム、キリスト教、ユダヤ教、仏教など諸宗教者7人のパネリストは、原理主義や過激主義を抑制するための対話の重要性、宗教の果たす役割などについて意見を述べた。
シンポジウムの後、内戦状態にあるシリアのファーロック・アクビック博士(アブヌール・モスク代表)が急きょ登壇。戦禍により国内避難民が暴力や貧困に苦しんでいる現状を訴えた。
夜には、京都市の将軍塚青龍殿で、キリスト教のグレゴリオ聖歌、仏教の天台声明(しょうみょう)、イスラームのクルアーンが詠唱される中、戦争や災害の犠牲者を追悼する「鎮魂の祈り」が捧げられた。