「第34回庭野平和賞」贈呈式 諸宗教協力を通して中東和平に尽くすムニブ・A・ユナン師に

キリスト教内の対話にも努め 歴史的和解を達成

一方、キリスト教内の対話による一致(エキュメニカル)にも尽力。2010年から今年5月まで、98カ国に145教会を擁する「ルーテル世界連盟」議長を務め、カトリック教会との神学対話を進めてきた。昨年10月、2017年に宗教改革500年を迎えるにあたり、ローマ教皇フランシスコと連名で歴史的な共同声明を発表。マルティン・ルターの宗教改革で分派し、争った過去の反省と、諸問題解決のための協力を表明した。

贈呈式では、同委員長のノムフンド・ワラザ氏(デスモンド・ツツ平和センター最高経営責任者)が選考結果を報告した後、庭野名誉会長からユナン師に賞状と顕彰メダルが贈呈された。

挨拶に立った庭野名誉会長は、混迷する中東問題に触れ、3宗教を等しく尊重し、全ての人に愛をもって接するユナン師の穏健な姿勢に敬意を示した。続いて松野博一文部科学大臣(戸谷一夫事務次官代読)、芳村正德日本宗教連盟理事長が祝辞。この後、ユナン師が、平和構築に向けた宗教の役割について記念講演を行った。

贈呈式後の記者会見の席上、アジアの宗教指導者に期待する取り組みについて質問を受けたユナン師は、「他の宗教指導者を恐れないでほしい」と発言。尊厳あるいのちや愛をテーマにした対話の必要性を強調した上で、「あらゆる宗教者がより活動的になるべきだと思います。そして、宗教間の違いに重きを置くのではなく、豊かないのち(の対話)に活動を集中させてほしい」と述べた。

庭野平和賞委員会「委員一覧」

▼委員長=ノムフンド・ワラザ氏(南アフリカ、聖公会キリスト教、デスモンド・ツツ平和センター最高経営責任者)▼庭野日鑛・庭野平和財団名誉会長▼アン・ジェウン氏(韓国、キリスト教、韓国Dasomi財団理事長)▼スーザン・ヘイワード氏(米国、キリスト教、米国平和研究所「宗教と包摂的社会」部部長)▼アラン・ウンターマン氏(英国、ユダヤ教、マンチェスター・イェシュラン・シナゴーグ会堂元牧師)▼サリウ・マッケ師(セネガル、イスラーム、アフリカの平和のための宗教間行動のコーディネーター)▼ジュディス・マリー・ポヴィルス氏(米国、ローマカトリック、ソフィア大学研究所副学長)▼ハルシヤ・クマラ・ナヴァラトネ氏(スリランカ、仏教、セワランカ財団理事長、仏教者国際連帯会議理事長)▼サラ・ジョセフ氏(英国、イスラーム、ムスリムのライフスタイルマガジン「emel」CEO兼編集者)▼ランジャナ・ムコパディヤーヤ氏(インド、ヒンドゥー教、デリー大学東アジア学部准教授)

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