AIの時代を迎え 『2045年、あなたの子供は「未来」を生き抜けるのか』をテーマに東京青年会議所が例会

基調講演に立った元杉並区立和田中学校校長で、奈良市立一条高校校長の藤原和博氏

2045年――人工知能(AI)が人間の知能を超えると言われている。公益社団法人「東京青年会議所」は7月8日、『2045年、あなたの子供は「未来」を生き抜けるのか』をテーマに、東京・港区の浄土宗大本山増上寺の光摂殿で例会(公開)を行った。同会議所の会員や市民ら約350人が参加した。

当日は、元杉並区立和田中学校校長で、現在、奈良市立一条高校校長の藤原和博氏が基調講演に立った。

藤原氏は冒頭、「2045年問題」に触れながら、現代のロボット掃除機や自動運転技術を搭載した自動車、スマートフォンの音声翻訳アプリの実用化を例に挙げ、「ロボットと一緒に暮らす時代はすでに来ている」と説明。AIのさらなる進化により、膨大なデータから正しい判断を下す弁護士や医師などの職業はロボットに取って代わられる可能性が高いとし、「高度で知的な仕事だからといって、職が無くならないというわけではない」と述べた。

また、これまでの日本は、一つの正解にたどり着くための“情報処理力”を向上させる「ジグソーパズル型」教育であったと説明した上で、AIと共存する今後の社会に必要な教育に言及。自らの知識、技術、経験の全てを組み合わせながら、その時々の状況に応じて誰もが納得できる「納得解」を導き出せるよう、“情報編集力”を養う「レゴ型」教育が重要と強調した。

さらに、情報を編集する能力を養うには、さまざまな人と関係を築けるコミュニケーション力を育てる必要があると指摘。親子のタテ関係や友達とのヨコ関係だけではなく、地域コミュニティーの中で「お兄さん、お姉さん、おじさん、おばさんなどと“ナナメ”の関係を作ることが大切」と語った。

パネルディスカッションでは、学校・家庭・地域が連携する大切さなどが語られた

この後、千代田区立神田一橋中学校の太田耕司校長と東京青年会議所千代田区委員会の外口真大委員長が対談。続いて、教育ジャーナリストでマザークエスト代表の中曽根陽子氏、NPO法人「全国てらこやネットワーク」理事長の大西克幸氏、奈良市内の小学校に勤務する認定NPO法人「Teach For Japan」の池田由紀氏、藤原氏によるパネルディスカッションが行われた。パネリストからは、地域社会に子供の居場所をつくる必要性や10歳までは十分に遊ばせる大切さ、そのための学校・家庭・地域の連携などが提案された。