「分断を抱えたままトランプ政権がスタート」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)
教皇が諸宗教対話省の新長官を任命
ローマ教皇フランシスコは1月24日、昨年11月に死去したバチカン諸宗教対話省のミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット長官(枢機卿)の後継者として、同国務省で教皇の国際旅行の調整役を担当していたジョージ・ジェイコブ・クーバカド枢機卿(51歳)を任命すると公表した。
クーバカド枢機卿は、インドの東方典礼カトリック教会の聖職者で、同国のケララ州で1973年に生まれた。2004年に神父に叙階され、06年にバチカン外交の世界に入り、アルジェリアの教皇大使館に派遣された。以来、09年から韓国、12年からイラン、15年からコスタリカ、18年からベネズエラの教皇大使館で外交活動を展開、20年からバチカンに戻り、国務省総務部に配属されていた。21年、教皇の国際旅行の調整役に任命され、24年の10月に大司教、12月には枢機卿の位に挙げられた。
クーバカド新長官は同日、「バチカンニュース」のインタビューに応じ、「私自身、全ての宗教が尊重され、調和が保障された、多文化・多宗教の社会に生まれ育った」と強調しながら、「違いは、肥沃(ひよく)さである」と主張した。「キリスト教信仰が異文化に同化する能力を有し、キリスト教徒たちは、全ての人々と友愛関係を構築していくようにと呼びかけられている」と説く新長官は、「諸宗教対話は、ただ単なる諸宗教間での対話を意味するものではなく、諸宗教の信徒間で、神を信仰し、友愛の慈悲と尊重を実践することの美しさを証することでもある」と強調した。
また、昨年の教皇のインドネシア訪問にも言及しながら、教皇の国際旅行における諸宗教対話の重要性についても話した。クーバカド長官は今後も、教皇の国際旅行の調整役を兼任する。
(宮平宏・バチカン支局長)