WCRP日本委女性部会「いのちに関する学習会」 難民支援の現場から

日本の難民認定にまつわる状況を、グラフを使って説明する大野教授(「Zoom」の画面)

『日本に避難を余儀なくされた方々の声なき声に寄り添うために~難民支援の現場から~』をテーマに、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会女性部会による「いのちに関する学習会」が10月9日、オンラインで開催された。世界の難民問題を知るとともに、日本への避難を余儀なくされた人々を取り巻く問題から、特に女性に寄り添う行動につなげることが目的。同部会会員、各教団の信徒ら約50人が参加した。

学習会では平和の祈り、森脇友紀子部会長(カトリック東京大司教区アレルヤ会会長)のあいさつに次いで、3人のゲストが国内外の難民の現状を解説した。

清泉女子大学の大野俊教授は、近年の日本における難民認定の状況に言及。今年6月の「出入国管理及び難民認定法」(入管法)改正によって、難民申請の回数に制限が設けられたことや、難民審査が他国のように公の場で行われずに、ブラックボックス状態になっていることを指摘し、難民の受け入れに対する日本政府の消極的な姿勢を批判した。

その上で、理論物理学者のアルベルト・アインシュタインやロック歌手のフレディ・マーキュリーなど難民の背景を持ちながら大きな成功を収めた人々を挙げ、難民は「人財」であると強調。日本の難民認定率が低い現状を憂い、日本政府は「人の命を助ける」という原点に立ち返り、包括的な難民政策を行う必要があると訴えた。

NPO法人アルペなんみんセンターの有川憲治事務局長は、活動を報告した。同センターでは、スタッフが常駐する難民のシェルターを用意。自立するための学びや地域住民との交流を促進するとともに、一般市民向けのセミナーを開催し、難民の現状を伝えている。有川氏は、同センターの取り組みを写真で紹介し、「難民を歓迎できる社会になることは、日本人にとっても、一人ひとりが大切にされ、多様な考えや文化を受け入れられる居心地の良い社会をつくることにつながります」と語った。

最後のスピーカーは、清泉女子大学4年生の高岩璃莉亜氏。高岩氏は、自身が携わっている、日本に暮らすロヒンギャの子供へのオンラインでの日本語による学習指導ボランティアについて説明した。絵を用いて分かりやすく伝える工夫をする中で、子供たちが問題を解けるようになることが喜びと述べた。また、ボランティア不足や、学生の難民に関する知識不足を感じ、学内や地域にポスターを掲示し、情報発信に努めていることを紹介した。