第36回IARF世界大会をルーマニアで開催 世界18カ国から宗教者ら約200人が参集
ウクライナの現状を学ぶパネルディスカッションなど多彩なプログラムを実施
翌5日には、神学校で避難生活を送るウクライナ避難民の家族を招き、支援にあたるハンガリアン・ユニテリアン教会のナザール・ザトロスキー師をファシリテーターにパネルディスカッションが行われた。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、ウクライナに隣接するルーマニアには、ロシアによる軍事侵攻開始直後から多くの避難民が流入。今も10万人以上の避難民が滞在している。こうした中、ハンガリアン・ユニテリアン教会では、同神学校で延べ70人を受け入れてきたほか、1000人以上の避難民に食事や生活用品などの支援を行ってきた。
パネルディスカッションでは、そうした受け入れの経緯や、ユニテリアン・ユニバーサリスト協会(UUA、本部=米国・ボストン)、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際委員会、IARF日本チャプターなどから資金援助を受けながら支援活動が継続されてきた状況が報告された。また、当事者家族からは、幼い子供たちは特に精神的ショックが大きく、彼らのケアや祖国の言語や文化を保持するためにも、幼稚園や小学校が必要であることが語られた。さらに、ウクライナではこれから訪れる厳冬に備え、発電機が最も必要とされていることなどが話された。
次いで、米国アイオワ州のワートバーグ大学で宗教学を教える寺沢邦彦准教授が、『日本と韓国の和解:仏教とキリスト教の宗教間/国境を越えた対話を通して』をテーマに講演。寺沢准教授は、アメリカ福音ルーテル教会に所属するプロテスタントであり、仏教を信仰する本会会員でもある。講演では、韓国と日本が、北朝鮮、中国、ロシアという権威主義国家に囲まれた東アジアで自由と民主主義を共有している現状を踏まえ、近代における韓日関係を詳述。日本の韓国併合に言及しつつ、日韓の対立の原因を探ることで、癒やしと和解の方法を見つけられること、さらには、宗教間対話をはじめとする仏教とキリスト教の国境を越えた連帯、若い世代との連携によって和解が可能になることを提示した。
最終日の6日朝、総会に先立ち諸宗教の祈りの時間が持たれ、オランダ・ユニテリアン教会、金光教、本会の3団体が平和の祈りを捧げた。この中で、本会は佐原次長を導師に「如来寿量品」を読誦(どくじゅ)。随行した廣田恭子渉外グループスタッフが解説を行い、日本チャプターとして大会に参加する本会会員が脇導師を務めた。
また、大会期間中には、本会の法座をモデルにしたサークルグループなどのプログラムが行われた。IARF総会では、評議員会による過去5年間の活動報告などがなされたほか、執行役員(会長、副会長、財務理事)を含む新たな国際評議員を選出。新会長には、1日目に基調講演を行ったウィリアムズ博士が選任された。
なお、今大会のホストを務めたハンガリアン・ユニテリアン教会が行う、ウクライナ避難民の居住支援、ウクライナ語での幼稚園の運営、ウクライナ本国での物資提供といった支援活動に対し、昨年本会が実施した「ウクライナ危機への諸宗教ネットワークによる対話の取り組みと人道支援のための募金」(ウクライナ緊急募金)の浄財から350万円が拠出された。