クラスター爆弾の供与に反対――米国のカトリック司教会議(海外通信・バチカン支局) 

米国のバイデン政権は7月7日、ロシアへの反転攻勢を続けるウクライナに対して、殺傷能力の高いクラスター爆弾を供与すると公表した。 

クラスター爆弾は、一つの爆弾から多数の小型爆弾が飛散する兵器。使用された地域では、紛争終結後も不発弾が爆発して多くの犠牲者が出ている。そのため、2010年には製造と使用を禁止する「クラスター爆弾禁止条約」(オスロ条約)が世界111の国と地域で締約され、日本も批准している。

しかし、同条約には米国、ロシア、ウクライナは署名しておらず、ロシアはウクライナ侵攻ですでにクラスター爆弾を使用しているという。

米国カトリック司教会議の国際正義と平和委員会はこのほど、カトリック信徒であるバイデン大統領の決断に対する憂慮を表明する声明文を公表した。この中で、クラスター爆弾は、「無差別兵器としての性質と、紛争終結後も長年にわたり一般市民の危険となり得るため、聖座(バチカン)をも含む世界100カ国以上でクラスター爆弾禁止条約が署名された」と説明。しかし、「米国とロシアは(クラスター爆弾禁止)条約に署名していない」と指摘し、米国政府は同条約と、1997年に締結された「対人地雷禁止条約」(オタワ条約)にも署名するよう促している。

さらに、「クラスター爆弾や対人地雷の犠牲者が出ないようにするため、世界各国が禁止条約に参加するように」と呼びかけるローマ教皇フランシスコのアピールを引用し、「ウクライナの自己防衛権を認めながらも、私たちは(ウクライナ侵攻の)対話による平和的解決のために祈る」と記して声明文を結んだ。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)