菩薩行実践誓う「成道会」 釈尊が悟りを開いた意義をかみしめ精進を (動画あり)
啓白文
本日、釈尊成道会にあたり、本仏釈尊の御前(みまえ)において、仏弟子日鑛、謹んで申し上げます。
私(わたくし)たちが帰依し、讃歎(さんだん)してやまないお釈迦さまは、二千数百年の悠久(ゆうきゅう)の昔、人生の苦悩を乗り越え、すべての人々が救われるようにと道を求めて、王子の身分や妻子を捨てて出家されました。様々な苦行を重ねられた後、肉体を痛めるだけでは道を究めることはできないと体得され、尼蓮禅河(にれんぜんが)で身を清め、村娘(むらむすめ)スジャータが捧げた乳粥(ちちがゆ)で身心の英気を取り戻され、ブッダガヤーの菩提樹の下(もと)で、宇宙の大法(だいほう)を「諦(あき)らめるまではここを動かず」と決意され、静かに端坐瞑想(たんざめいそう)に入られました。
そして、十二月八日の早暁(そうぎょう)、明けの明星(みょうじょう)が輝き初(そ)めた頃、ついに、一切の迷いから解放されて、宇宙の真理――妙法――を悟られたのであります。お釈迦さまはそのとき、次のような第一声を発せられたと伝えられています。「奇(き)なるかな奇(き)なるかな、一切衆生悉くみな、如来の智慧(ちえ)・德相(とくそう)を具有(ぐゆう)す。ただ妄想執著(もうぞうしゅうじゃく)あるを以(もっ)ての故に証得(しょうとく)せず」――人々は本来仏と同じ智慧と慈悲を具えている。ただ、欲や迷い、とらわれなどに覆(おお)われて、目覚められないでいるだけである――と。
ところで、お釈迦さまは、その悟りの内容を人々に伝えるべきか苦悩を深められました。しかし、大衆の苦を何とか救いたいとの願いから、労を厭(いと)わず布教伝道の第一歩を踏み出されたのでありました。
最初は、苦行を共にした五人の修行者に教えを伝えられました。仏(ほとけ)・法・サンガ(僧)の三宝がそろった瞬間であります。その初転法輪から始まったご布教は四十五年の長きに渡り、広大なインドの大地を足の裏が板のように硬くなるほどまでに人々の救いのために歩き続けられました。
お説法を始めてから四十余年が経った頃、一切衆生が智慧と慈悲に満ちた仏の境地にまで高まるようにと、ついに霊鷲山で法華経を説かれました。
開祖さまもまた、お釈迦さまの本懐経(ほんがいきょう)である法華経の精神を体(たい)して、立正佼成会を創立され、真理――ご法――を布教伝道されました。私たちは、開祖さまのお陰さまで、お釈迦さまのみ教えに導かれ、仏さまの願いに目覚めることができたのであります。
私たちは、本日の式典を機縁となし、仏教徒の使命として、人々の心が平安となるように願い、大乗菩薩道を歩んでいくことを決定いたします。
並びに十方世界に遍満(へんまん)する、
諸仏、諸菩薩、諸天善神
私たちを法華経にお導きくださいました、
開祖さま、脇祖さま
何とぞ、私たちの菩薩行をご照覧くださいますように、宇宙に存在する唯一(ただひと)つの母なる水の惑星・地球世界に平和が招来されますように、すべての生きとし生けるものが平安でありますように、慈悲の御手(みて)を差し伸べ、ご守護くださいますようお願い申し上げます。
令和四年十二月八日
立正佼成会 会長 庭野 日鑛
謹んで申し上げます