「『質素なクリスマスを』と呼びかけるキリスト教指導者」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)

「質素なクリスマスを」と呼びかけるキリスト教指導者

今年も間もなくクリスマスを迎える。キリスト教徒にとっては、キリストの降誕を祝う喜ばしい日だが、戦地でクリスマスを迎える信徒たちは、砲撃、ミサイル、空爆の轟音(ごうおん)におびえ、飢餓に苦しみ、寒さに震えている。

ローマ教皇フランシスコは12月14日、バチカンで行われた水曜恒例の一般謁見(えっけん)の席上、「過大な苦しみを受けているウクライナ国民」に言及し、「目前に迫るクリスマスと、その祝い方について、皆さんの注意を促したい」と呼びかけた。クリスマスを祝うこと自体は良いこととした上で、「祝うための費用を簡略にしようではありませんか」と奨励。「ウクライナでは、多くの人が飢餓に苦しみ、寒さに震え、医師や看護師が近くにいないために亡くなっている。より質素なクリスマスとプレゼントにし、その差額をウクライナ国民に贈ろう」と呼びかけた。そして、「クリスマスは祝わなければならないが、その祝いは、キリストとの和解(苦しむ人々を救う)のうちに、ウクライナ国民を心に留めながら祝わなければ」と、参集した信徒たちに訴えた。

戦渦による信徒たちの悲苦を共にするキリスト教指導者たちもまた、「派手な祝い方を避け、質素で霊的なクリスマスを」と呼びかけている。キリストは、両親(ヨゼフとマリア)が旅先のベツレヘム(現パレスチナ領ベツレヘム県)で宿を見つけられず、暖炉も寝床もない馬小屋で、羊やロバに囲まれながら生まれた。人類を救う神が、極貧の中で生まれ、自身を卑下し、十字架上で死を迎えながらも復活するという、キリスト教の根本的なメッセージに沿って、クリスマスを祝おうと呼びかけているのだ。

ミャンマーのマルコ・ティン・ウィン大司教(マンダレー大司教区)はこのほど、内戦に苦しむ人々への連帯を表明するため、「クリスマスと新年を派手に祝うことを避け、霊的な準備をして迎えよう」と述べた。同大司教がクリスマスと新年の機会に信徒たちへ宛てた司牧書簡には、「クリスマスのソング・ショー、パーティー、他の祝い事への参加、教会、神父館、修道院のイルミネーションを使った飾り付け、SNSにクリスマス・パーティーの写真を投稿することなどを避けよう」と記されている。

また、同大司教区に属するサガイン、マグウェの両地区で激化する戦闘に憂慮を表明。両地区の住民に対する連帯を表すよう信徒たちに促し、「クリスマスを霊的に準備するように」とアピールしている。さらに、「告白の秘跡の実践、ミサへの参加、祈り、聖書の朗読、黙想、ロザリオの祈り、慈悲行の実践」を奨励し、キリスト教徒の多いカヤ、カレン、チン、カチンで激化する内戦を考慮して公表された。

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