「ホロドモール」から90年 諸宗教合同祈祷式

礼拝で平和のメッセージを述べる和田部長

1930年代にウクライナで起きた人為的な大飢饉(ききん)「ホロドモール」の犠牲者を追悼する諸宗教合同祈祷式が11月26日、東京・港区の日本聖公会聖オルバン教会で執り行われた。在日ウクライナ正教会の聖ユダミッションが主催したもので、カトリックや聖公会の聖職者らが祈りを捧げた。また、今年9月に行われた「第1回東京平和円卓会議」での出会いを縁として、聖ユダミッションのポール・コロルク長司祭から立正佼成会に招待が届き、代表して和田惠久巳総務部部長が参列した。

1932年から33年にかけて、旧ソ連の一部であったウクライナで大飢饉が起き、数百万の尊い命が犠牲になったといわれている。ウクライナ政府はこの大飢饉を、当時のスターリン政権が人為的に引き起こした「飢えによる虐殺」を意味する「ホロドモール」(ウクライナ語)と呼び、毎年11月の第4土曜日を犠牲者を追悼する日と定めた。以来、国内外で集会が開かれている。

26日の祈祷式では、ロシアによる軍事侵攻で日本に逃れてきたウクライナ人など70人が参列する中、聖ユダミッションのコロルク長司祭が開会挨拶。「ホロドモール」から90年の時を経て、今また同じ悲しみが繰り返されようとしているが、「90年前と違うのは、平和を願い共に行動してくれる仲間が日本に、世界にたくさんいること」と強調し、「暴力に屈せず、共に祈ろう」と呼びかけた。

礼拝では、来日したコンスタンティノープル総主教庁韓国府主教区のアンヴロシオス・ゾグラフォス府主教(日本正教会総主教代理)、末日聖徒イエス・キリスト教会アジア北地域コミュニケーションディレクターの望月孝則師に続き、和田総務部部長が登壇。祭壇に献灯した後、「困っている方々に手を差し伸べる心を私たちが養えますように」と平和のメッセージを述べ、同行した佐原透修総務部次長(渉外グループ)、加瀬育代同グループスタッフと共に、本会の儀礼儀式で題目を三唱した。

ウクライナ国立歌劇場に所属するプロのチェロ奏者で、日本に避難するテチアナ・ラブロワ氏による演奏披露に続き、カトリック東京大司教区広報担当の赤井悠蔵師が、菊地功大司教のメッセージを代読。次いで日本聖公会管区事務所総主事の矢萩新一司祭が祈りを捧げ、駐日ウクライナ大使館のセルギー・コルスンスキー特命全権大使が挨拶を行った。