各地でウクライナ避難民支援や平和を祈る取り組み 早期終結を願い、心を重ねて

宇部教会 ウクライナ人留学生に米60キロ贈呈 善意の輪をさらに広げたい

宇部教会は5月30日、ウクライナから避難してきた留学生を受け入れている福岡県の日本経済大学に、米60キロを寄贈した。取り組みの発起人となったのは、渉外部長のTさん(63)。今年4月、ウクライナ関連の報道の中で、娘(26)の勤務先である同大学の取り組みを知った。募金や物資提供だけでなく、「留学生」という支援の形があることに感銘を受けた。そんな時、娘から一本の電話が入った。

娘は、自身も生活する学生寮にたくさんのウクライナ人留学生がいること、着の身着のままで来日した彼らを応援しようと、大学のクラブ活動生たちが率先して街頭募金を行っていることを告げた。さらに、街頭募金に立つ友人たちに感謝の気持ちを返したいと、ウクライナ人留学生たちが慣れない手つきでおむすびを握って差し入れていることを伝えた。

「学生たちのために何かできないか」と悩む中、娘は「『一食(いちじき)を捧げる運動』は世界をつなぐ」という父の言葉を思い出し、Tさんに電話をした。娘の話を聞き、Tさんにあるアイデアが浮かんだ。

同教会では毎年、会員から寄せられた「奉納米」を教会道場でのご本尊給仕に活用してきた。しかしここ数年は、コロナ禍の影響で当番修行が休止されたこともあり、山口・宇部市や子ども食堂などに提供している。こうした取り組みの経験から、Tさんは「会員さんの真心がこもったお米を、ウクライナの人々への支援に役立てられるのでは」と考えた。

平田和世教会長に相談すると、県をまたぐ移動になるため、すぐさま原章雄中国支教区長に報告してくれた。

原支教区長の「感染対策をしつつ、ぜひ届けてください」との後押しを受け、5月30日、Tさん、平田教会長、教務部長(54)が、福田昌弘福岡教会長の案内で日本経済大学を訪問。ウクライナ人留学生3人らと面会し、米60キロを贈呈した。

この日の様子を、Tさんは教会のサンガ(教えの仲間)にメールやSNSを使って伝えた。Tさんの元には連日、サンガからの反響が寄せられた。その中には、今回の奉納米の生産者たちもいた。その一人、組長(63)は、「丹精込めて育てたお米が、祖国を離れて大変な思いをしているウクライナの方々のお役に立ち、とても有り難いです。それ以来、毎日食べるお米がすごくおいしく感じます。支援の道をつけてくださった皆さまに感謝します」と喜びを伝えてくれた。

また、支部壮年部長(55)は、人から人へと善意が伝わっていった様子に、「法華経に説かれる『五十展転(ごじゅうてんでん)』の世界が展開されていると感じた」と話す。今回の取り組みでTさん親子がつないだ縁をさらに広げていきたいと願い、会員を対象にしたオンライン平和学習を企画。6月18日に開催された第1弾では、会員51人がウェブ会議システムを使って集い、ウクライナとロシアの歴史を学びながら身近な平和実践について語り合った。

一連の流れを振り返りTさんは、「世界の平和を願うみんなの仏性が共鳴し合ったことで、住んでいる場所や立場を超えて善意が広がっていったように感じます。ここで終わりではなく、今後も思いをつなげて次の支援を考えたい」と感想を話した。

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