WCRP日本委女性部会「いのちに関する学習会」

秋林氏は、紛争下での組織的な性暴力などを例示し、平和に向けてジェンダー平等の視点を持つ大切さを伝えた(「Zoom」の画面)

『ジェンダー問題を知りたい!』をテーマに7月2日、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)日本委員会女性部会主催の「いのちに関する学習会」がオンラインで開催された。同部会会員、各教団の宗教者や賛助会員ら約50人が参加した。

学習会では、同部会の森脇友紀子部会長(カトリック東京大司教区アレルヤ会会長)の開会あいさつに続き、同志社大学の秋林こずえ教授が『ジェンダーと平和』と題して講演した。

秋林氏は、ジェンダーの定義の一つに「社会的・文化的に構築された知」があり、これは人間の行動様式や役割、身体的特徴を二分法で分類し、「男らしさ」「女らしさ」という価値観として社会化していったものと説明。こうした捉え方が、性別間の優劣や規範の強制などにつながり、家父長制に代表される男性優位の権力構造をつくっていったと指摘した。さらに、人間が社会で果たす役割に高下はなく、全てが尊重される社会を築くことが大切だと語った。

また、紛争地域では敵対勢力に対する暴力的な支配や征服を示すため、攻撃の手段として組織的な性暴力が行われるケースがあると報告。その目的は、女性を男性の所有物として強奪し、支配することで敵対する兵士に心理的なダメージを与えるためと説明した。こうした問題の根底には、男性だけが社会や家族を守る役割を持つという価値観があると指摘し、ジェンダーの平等という視点を持って平和構築に取り組む重要性を強調した。

この後、グループに分かれて「分かち合い」の時間が設けられ、参加者は講演を通した学びなどを共有し、その内容を発表した。