「六花の会」オンライン仏教経営者塾 コロナ禍における経済動向を学ぶ

商品開発やマーケティングを手がける大久保さんが、日本経済の見通しを示した(「Zoom」の画面)

仏教精神を生かした経営を目指す立正佼成会会員有志のネットワーク「六花(りっか)の会」が3月12日、第6回仏教経営者塾をオンラインで開催した。経営者、個人事業主の会員59人が参加した。

当日は、『2022年 消費者の生活はどう変わる? ウィズコロナ時代の日本経済を見据えて』と題し、商品開発やマーケティングなどを手がける「SOCIALING LAB」代表の大久保惠司さん(66)が講演。国内外のデータから消費者意識や企業戦略の動向を分析し、今年の経済の見通しを示した。

大久保さんは、コロナ禍が日本経済に与えた影響を詳述した後、今後日本が経済成長を続けるには、デジタル技術による変革(DX=デジタルトランスフォーメーション)が不可欠と説明。DXに伴い、多くの職種でロボットやAI(人工知能)が仕事を担うようになり、労働市場が大きく変化する可能性があるとの見方を示した。

また、「持続可能な社会」への関心が高まる現在、ビジネスでも環境問題を意識し、資源を有効に活用する取り組みが注目を集めていると解説。近年、消費者のニーズに応じて電化製品やカメラなどを一定期間、定額で提供するサブスクリプションサービスの市場が拡大していることや、商品を新品で購入せず、レンタルしたり、共同使用したりする動きが広がっていることにも触れ、今後はリサイクルを前提とした「循環型の消費」が普及すると語った。

さらに、食品分野にも言及し、食料の生産、加工、輸送、消費といった過程で発生する炭酸ガスの排出や廃棄物などの問題に配慮した産業が成長すると予測。先進技術によって「代替肉」や「代替卵」をつくる「フードテック」など、人手がかからない次世代型の産業が発展していくと語った。

その上で、コロナ後の世界は「倫理」「利他主義」などがキーワードとなり、エシカル(道徳的)な資本主義が胎動すると強調。企業の存在価値を社会に示すことが一層重要になるとして、「何のためにビジネスをするのかという『志』を明確にし、ぶれない視点を持って(会社の)チームの求心力を高めることが大事」と提言した。