大聖堂で「教団創立84周年記念式典」 感染防止策を徹底、約2年ぶりに人が集う (動画あり)
立正佼成会創立の精神をかみしめ、さらなる修行精進を誓う「教団創立84周年記念式典」が3月5日、東京・杉並区の大聖堂で挙行された。当日は、新型コロナウイルスの感染防止策を徹底した上で、本部や事業体の職員ら約230人が参加。大聖堂4階ホールに人が集うのは約2年ぶりになる。式典で法話に立った庭野日鑛会長は、「年を取る」「年を重ねる」ことの意味合いを紹介し、自らのいのちの尊さ、教えに出遇(であ)えた有り難さを自覚して精進する大切さを説いた。式典の様子は、動画共有サイトを通じて会員にライブ配信された。
本会は昭和13(1938)年3月5日、「現実に人を救い、世を立て直すには、法華経に込められた真の仏教精神を弘めるほかにない」という熱意と真心を基に、庭野日敬開祖と長沼妙佼脇祖によって創立された。以来、庭野開祖、長沼脇祖をはじめ、多くの先達の尽力によって教団の礎が築かれ、現在は国内外で布教伝道が展開されている。
当日は式典に先立ち、東京佼成ウインドオーケストラ(TKWO)が「威風堂々第1番」など3曲を演奏。その調べに乗せて、国内外の教会役員功労者176人と会員特別功労者211人の氏名が紹介された。
式典では庭野光祥次代会長を導師に読経供養が行われ、聖壇上に着座した庭野会長が「啓白文」を奏上した。
この中で庭野会長は、教団の礎を築いた先達への感謝を表明。来るべき「教団創立百年」を展望して、「『人間形成の根本道場』である家庭において、ご宝前を中心とした生活を営み、御本尊さまに感謝の誠を捧げつつ、夫婦として、父母として、親として、自らの家庭を斉(ととの)え、未来を担う子ども達の人格の形成をはかってまいります」と誓願した。
教団を代表してあいさつした國富敬二理事長は、ロシア軍によるウクライナ侵攻で戦禍を逃れる人々の状況、新型コロナウイルスに感染した人々の心情などに言及。不可抗力によって厳しい状況に置かれた人に対して、「優しい言葉をかける、相手を心配するという触れ合いを重ねていくことが法華経の実践」と述べた。
続いて、教会役員功労者を代表して中津川教会会員(75)、会員特別功労者を代表して福山教会会員(79)に、庭野会長から感謝状と記念品が贈呈された。また、功労者を代表して新潟教会会員(74)が体験説法を行った。
新潟教会会員は子供の頃、両親の離婚などにより家庭で居場所を見いだせず、やがて現在の夫と出会い、佼成会の教えに触れたことを述懐。教えによって生き方を変えられると希望を見いだし、実践に励んだ日々を振り返った。その後、支部長を務めながら10年にわたって姑の介護に尽くし、心身のバランスを崩した夫との触れ合いの中で自身の心を見つめ直すことで、何事も一人で抱え込まず、周囲の支えを素直に受け入れて家族やサンガに感謝できた体験を語った。
また、信仰生活を省み、自分の人生に無駄なものは一つもなかったと思えた現在の心境を報告。今後も自らの心田を耕し、家庭を斉えて、「未来を担う世代と共に成長していきたい」と決意を語った。
続いて、新日本宗教団体連合会(新宗連)理事長の岡田光央・崇教眞光三代教え主が登壇し、祝辞を述べた。
法話に立った庭野会長は、花園大学の佐々木閑教授の著書『日々是修行』の一節を引用する形で、人は年を取って体が衰えていくものの、それゆえに心は人の苦悩や痛み、生きることの本質が分かるようになると詳述。肉体につらさを抱えて生きる中で、智慧(ちえ)と慈悲が理解できるようになるという意味で、「年をとることそのものが修行」との佐々木氏の言葉を挙げながら、「老いる」ことの意味合いを知って元気に精進していく大切さを示した。
さらに、単純な計算や音読などが身心の健康につながると説示。年を重ねても、体が常に新陳代謝を繰り返していることは、日々、新たな自分になっていると受けとめられると述べた。
また、「永遠の過去から永劫の未来へと受けつがれてゆく、宇宙の大生命そのものがぼくたちの命なのである」という工学博士である森政弘氏の言葉を紹介しながら、自らのいのちの不思議、有り難さを自覚することによって、どんな苦難に直面しても前向きに生きていく活力が湧いてくると教示。「明るく、優しく、温かく、しかも厳粛な気持ちで生きていくこと――これが仏さまの一番大事な伝言」と述べ、全国の会員を励ました。
この後、全会員の感謝を込め、杉並教会の男児(6)、女児(6)が、庭野会長夫妻に花束を贈呈した。