大聖堂で「教団創立84周年記念式典」 感染防止策を徹底、約2年ぶりに人が集う (動画あり)

祝辞(要旨) 岡田光央師(新宗連理事長・崇教眞光三代教え主)

簡素生活こそ新しい時代の鍵 これからも共に正法の実践を

本日は、立正佼成会、創立84周年、誠におめでとうございます。

今、ロシアとウクライナの関係が大変緊迫した状況となっています。新宗連では草創期から、開祖さまが「いかなることがあっても、武力によって他国を脅かすようなことがあってはならない」と絶対非戦を提唱されています。今日、このような緊迫した事態に至っていることに、宗教者として忸怩(じくじ)たる思いを禁じ得ません。

昨日も、会長先生から、お釈迦さまの重要な教えの一つである「怨(うら)みを捨てよ」というお話を頂きました。この絶対非戦の精神を世界に呼びかけねばならないと思います。

さて、眞光の初代光玉師と恵珠師が昭和45年、この大聖堂に参拝させて頂き、親しく開祖さまとお会いする機会がございました。眞光でも宗教宗派を超えて共生する世界を目指しておりますので、開祖さまの宗教協力のお考えと一致したと伺っております。

平成3年、庭野日鑛先生が会長職を継承されたお祝いの式典にお招き頂きました。その折だと思いますが、私が開祖さまに長生きの秘訣(ひけつ)をお伺いすると、開祖さまは次のようにおっしゃいました。

「それは腹を立てないことだよ」と。

仏教では怒りを「瞋(じん)」と言いますが、「貪(とん)・瞋・痴(ち)」の「瞋」が、世界を覆っています。お釈迦さまは火宅の世が来ると予言されました。人間の心が燃えると、それは家庭の家を燃やし、社会を燃やし、そして世界に戦乱が起こるということであります。まさに私どもは、この二千数百年にわたって業(ごう)を積み重ね、現在の抜き差しならない世界の状況をつくっているのだと思います。

法燈継承式に臨まれた日鑛会長先生は、「簡素生活」という極めて簡潔な方向性を示されました。このシンプルライフというお言葉は、未来の世界を予見した素晴らしい提言であると存じます。そして「脚下照顧(きゃっかしょうこ)」「足元をみよ」とおっしゃいました。石油をはじめとするエネルギー危機が叫ばれ、地球環境の悪化と気候変動が危惧される現代において「簡素生活」こそが、世界の持続的繁栄をもたらす生き方であることが明らかとなっております。私たちは、日々の生活の中で正法(しょうぼう)をどのように生かし、実践していくのかが問われていると思うのです。

先年私は、南太平洋の孤島イースター島に行きました。そこはコバルトブルーの美しい海に囲まれた島です。モアイ像で有名ですが、渚(なぎさ)を歩いてみると、小さなごみと共にマイクロプラスチックが流れ着いておりました。太平洋の海を越えて、こんなところにも流れ着いているのかと思った次第です。

それ故、私はマイレジ袋を持って歩いています。便利で軽いレジ袋をポケットに入れ、あるいはバッグに入れて持ち歩きますと、買い物かごにもなり、濡(ぬ)れたものを入れることもでき、ごみを入れることもできる。そして何回も使うことができる。こういうことを眞光の信者に伝えています。

われわれは、環境浄化のためにできることを少しずつ実践する必要があります。そして、新しい時代の、新しい生き方、簡素生活こそがこれからの日本人、地球市民が生きるためのテーゼであることを信じて疑いません。

信仰者がものを考える前提は『因果律』にあると思います。それは、ゆるぎのない真理にほかなりません。まさに因果の法によって、総(すべ)てがつながっていることを認識します。私どもは、お釈迦さまの御前に一大事因縁をもって、共生を許されていると思うのです。例えば、植物と虫との関係が絶対共生によってつながっているように。

結びに、佼成会会員の皆さま方が愛他の精神を基として、いよいよ社会善化活動に邁進(まいしん)され、発展されますことを心よりお祈り申し上げ、お祝いの言葉といたします。
(文責在編集部)

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