厳しさ増すミャンマーの窮状――国軍のクーデターから1年(海外通信・バチカン支局)
ミャンマーでは、昨年2月1日に国軍がクーデターによって全権を掌握してから1年が経過した。暴力的政変に対する学生を中心としたデモや民主化を求めての市民の不服従運動、さらに国軍に対する少数民族の武力闘争が各地で続いている。
政情不安と人道危機が続く同国の状況を踏まえ、ローマ教皇フランシスコは今年2月2日、バチカンで行われた一般謁見(えっけん)の席上、「この1年間、ミャンマーを流血させる暴力を、苦痛をもって見守ってきた」と発言。平和を訴える同国の司教たちを支持し、当事者間の和解がなされるように国際社会の働きかけを求めた。
さらに教皇は、「ミャンマーの多くの兄弟姉妹たちの苦しみから目を背けてはならない」と強調。「神に対して祈り、受難する(ミャンマー)国民のために慰めを希(こいねが)おう」「和平のために尽くす皆の努力を神に託そう」と呼びかけた。
同国では2月1日、ヤンゴンやマンダレーを中心に全土で、仕事を放棄し、外出を控えて国軍に不服従の意思を示す「沈黙のストライキ」が実施された。参加者は、8時から16時まであらゆる活動を停止。各地で路上から車や人影が消えた。
国軍による報道やインターネット通信の規制が続く中、世界宗教者平和会議(WCRP/RfP)国際委員会共同会長で、同国カトリック教会ヤンゴン大司教のチャールズ・ボー枢機卿が、バチカンやカトリック系の国際通信社を通してメッセージを発信している。1月30日付の「バチカンニュース」によると、ボー枢機卿は国際社会に向けて、「ミャンマーは戦場となり、人道支援を必要としている。私たちは国民に希望を与えられるように努力している。私たち(ミャンマー)のことを忘れないで」と訴えた。また、「(クーデター発生直後に比べて)ミャンマーに対する関心が薄れ、世界のレーダーから消えてしまったかのように感じる。国際社会がミャンマーを忘れず、和解に向けた国民の戦いを支援してほしい」と述べた。その上で、平和に向けた具体的な支援として、「(国軍への)武器の供給を停止し、困窮者が人道支援にアクセスできるようにしてほしい」と要望した。