開祖さま生誕会 「法燈継承式」から30年 庭野会長が啓白文を奏上し法話 (動画あり)
立正佼成会を創立した庭野日敬開祖の生誕を祝うとともに、恩師の願いを受けとめ、菩薩行の実践を誓願する「開祖さま生誕会」が11月15日、大聖堂(東京・杉並区)で開催された。新型コロナウイルス感染防止のため会員は参集せず、式典の様子がインターネットの動画共有サイトを通じてライブ配信(会員限定)された。会員はそれぞれの場所で庭野開祖の遺徳をかみしめるとともに、法華経に示された「一乗」の精神に基づき、さらなる布教伝道と精進を誓った。
11月15日は、庭野開祖の生誕の日であると同時に、本会の御本尊「久遠実成大恩教主釈迦牟尼世尊」が勧請された日でもある。さらに今年は、庭野日鑛会長が庭野開祖から会長位を継承した「法燈継承式」から30年の節目を迎えた。
大聖堂の聖壇には庭野開祖のご尊影に加え、「法燈継承三十年」の文字が掲げられた。式典は、東京佼成ウインドオーケストラによる序奏で開幕。庭野光祥次代会長を導師に読経供養が行われ、聖壇上に着座した庭野日鑛会長が「啓白文」を奏上した。
「啓白文」で庭野会長は、「法華経に込められた真の仏教精神をひろめ、現実に人を救い、世を立て直したい」という願いを基に本会を創立し、人々の救済、世界平和の実現に尽くした庭野開祖の生涯に触れ、遺徳を偲(しの)んだ。その上で、報恩として、新型コロナウイルス感染拡大で世界中が混乱する今、人間が真に大切にすべきものを見つめ直す機縁と受けとめ、平和の実現に向けて菩薩行に挺身(ていしん)することを誓願した。
平成3年に大聖堂で行われた「法燈継承式」の映像の上映に続き、教団を代表して國富敬二理事長が挨拶。庭野会長の30年の歩みを振り返りながら、「全会員へのご本尊およびご法号勧請」「開祖さまの教えを親孝行、先祖供養、菩薩行に結晶化」「三つの基本信行(ご供養、導き・手どり・法座、ご法の習学)」などの取り組みを進め、「仏法僧の改革に取り組んでくださいました」と話し、謝意を表した。
次いで、全国の会員を代表して小金井教会の青年婦人部長(43)が体験説法。コロナ禍での義父の死、義母の病という二つの苦に直面しながらも、教えを支えに夫と子供と心を合わせて乗り越えた体験を振り返った。また、家族の大切さを痛感した経験から、コロナ禍の中で婦人部としてできる菩薩行を模索。以前から教会道場で続けてきた「子ども食堂」が開けない中で、部員からの提案で貧困や孤食(こしょく)など、さまざまな境遇にある子供たちの幸せを祈り、各家庭のご宝前でご供養を続けていると報告した。ご供養の際に読み上げる「祈りの言葉」を副部長と一緒に考えたことで、身近な家族や地域だけでなく世界中の子供たちに思いを馳(は)せられるようになったと語り、「子供にとって苗代となる家庭づくり」を目指したいと誓願した。
この後、庭野会長が登壇し、全国の会員に向けて法話を述べた。この中で、庭野会長は、法燈継承後に全国の教会を訪問した「親戚まわり」に触れながら、それが「宇宙の一切合切が親戚」という意味合いであったことを紹介。人間は死を迎えると肉体は滅びるものの、大地に還(かえ)り元素に戻ることなどを例に宇宙と一つであると説明し、人間は宇宙の一切合切と関係を持って生きていて、本当は永遠の命を頂いていると説いた。
また、11月15日は子供の七五三を祝う時期でもあることから、「躾(しつけ)」に言及。その文字を紹介し、体と心が美しく育つよう人格形成の根本となる素養を身につけさせることは親の責務であると話し、幼少期の家庭教育の大切さを示した。
さらに、庭野開祖が「即是道場(そくぜどうじょう)」の精神を説いていたことに触れ、大聖堂や教会道場は稽古の場であり、「家庭や職場、学校など私たちが今いるところで仏さまの教えをしっかりと自分のものにし、周りの人と共々に向上していくことが、社会生活を送る上で大事なこと」と述べた。