「2民族2国家と聖都の国際管理――教皇とアッバス議長」など海外の宗教ニュース(海外通信・バチカン支局)
2民族2国家と聖都の国際管理――教皇とアッバス議長
パレスチナ自治政府のアッバス議長は11月4日、パレスチナを独立国家として承認しているバチカンを訪問し、ローマ教皇フランシスコと約50分にわたり懇談した。
バチカン記者室から公表された声明文は、両指導者が「聖座(バチカン)とパレスチナ国家との良好な関係を確認しながら、相互に関心のある事項について話し合った」と伝える。さらに、「諸宗教間において人類友愛と平和共存を促進していく必要性」を確認。イスラエル人とパレスチナ人の間での和平プロセスに話が及び、国際社会の支援を受けながら、2民族2国家の原則に基づく解決に至るため、両国の直接交渉を再開していくことが絶対に必要との意見が交わされたという。
さらに、聖都エルサレムは、「全ての人々にとって、紛争の地ではなく、出会いの場として認められなければならない。その位置付けとしては、国際法によっても保障される、アブラハムを祖師とする3宗教(ユダヤ教、キリスト教、イスラーム)に共通するアイデンティティーと、聖都としての普遍的価値を維持するものでなければならない」との意見が示された。同都が、イスラエル議会が定める同国の「永久で分割できない首都」となってはならないとの考えだ。
最後に、両指導者は、「武器を放棄し、あらゆる形で過激主義や原理主義と闘い、和平のために努力していくことが必要」と確認し合った。
この懇談前日の3日には、パレスチナ使節団(団長=マフムード・アル・ハッバシュ判事長)の一行がバチカン諸宗教対話評議会を訪問し、議長のミゲル・アンヘル・アユソ・ギクソット枢機卿、イスラーム担当のカレド・オカシャ神父と懇談した。ハッバシュ判事長は、宗教問題とイスラームに関する議長顧問であり、アッバス議長のイタリア、バチカン訪問にも同行した。
懇談の目的は、2015年に調印された「聖座(バチカン)とパレスチナ国家間における包括的合意」の実現に向け、教皇とイスラーム・スンニ派最高権威機関「アズハル」(エジプト・カイロ)のアハメド・タイエブ総長が署名した「人類の友愛に関する文書」の精神に沿い、「両国間の対話を促進する」ため。双方は、定期的な対話によって、実現を図っていくことで合意した。