「第35回世界宗教者平和のための祈りの集い」開催――ローマ教皇、タイエブ総長らが出席 本会ローマセンター長が参加

翌7日午後には、各会場で宗教ごとに「平和の祈り」が捧げられた後、ローマ古代遺跡のコロッセオを背景に、コンスタンティヌス皇帝の凱旋門(がいせんもん)の横に設置された会場で閉会式が挙行された。教皇フランシスコ、バルトロメオ一世、「アズハル」のアハメド・タイエブ総長を含む諸宗教の指導者12人が壇上に着座。あいさつに立った聖エジディオ共同体創設者のアンドレア・リカルディ教授は、「パンデミックという厳しい教訓が諸宗教者に、宗教協力の必要性をこれまで以上に強く認識させ、意識を目覚めさせた」と述べ、友愛と平和の世界を構築していくために願いを持って取り組むように訴えた。

次いで、ドイツのメルケル首相が登壇し、「各国政府と諸宗教間の尊敬に満ちた、透明性のある対話」が重要と強調。その上で、「私たちは、紛争に対して何もしない傍観者であってはならない」と戒めた。

この後、諸宗教指導者がスピーチした。この中で、タイエブ総長は、新型コロナウイルス感染症のパンデミックという危機は、「(人間の)良心と責任による義務という点において、私たちの極限的な貧しさを明らかにした」と指摘。その原因として、現代人の精神性に共通する「崇高な神の不在」を挙げた。

教皇は、「戦争とは、政治と人類の敗北であり、恥ずべき降伏であり、悪の勢力に屈した敗北である」との考えを示し、「(各国が)兵器を削減し、無分別な銃の売買を規制し、偽善を減らして(社会の)透明性を高く保ち、より多くの食料と、新型コロナウイルスワクチンを公平に分配するように願う」と述べた。

続いて、アフガニスタンから逃れてきた若い女性が、「ローマからのアピール」を読み上げた。この中で、「恐怖と暴力を祝福するーーこのようなために神の名を使ってはならない」と宗教の悪用を非難し、「全人類は、地球上できょうだいとして生きる宿命を負っているのです」との確信を明示。「現在、停滞している軍縮プロセスを早急に再開することが急務。核軍縮を進展させなければならない。核兵器の拡散は、互いの信頼を喪失させる脅威となる」と訴えた。

このアピールは、壇上で諸宗教の指導者たちから世界の子供たちの代表に手渡され、参列していた各国大使や政治指導者たちに届けられた。