入院中の教皇が病院バルコニーで正午の祈り(海外通信・バチカン支局)
ローマ教皇フランシスコは7月4日、ローマ市内のカトリック総合病院『ジェメッリ』に入院し、結腸の手術を受けた。術後の経過は良く、11日には、同病院の10階バルコニーに元気な姿を見せ、病院の広場に参集した多くの医療関係者、聖職者や一般信徒の励ましの声と拍手に応えながら、日曜日恒例の正午の祈りを司式した。
同病院の10階は、1981年に教皇ヨハネ・パウロ二世がバチカン広場で狙撃された事件後に入院していた時、病棟の窓から24回にわたり正午の祈りを司式した場所だ。ヨハネ・パウロ二世は、同病院のことを(バチカンの丘にサンピエトロ大聖堂が建立される前の教皇座であった、ローマ市内のラテラノ教会に次いで)「第三のバチカン」と呼んでいた。
フランシスコ教皇は、同病院の小児科でがんの治療を受けている3人の子供とバルコニーに立った。祈りの前に行われる法話では、「あなたたち(信徒)の連帯と祈りに感謝」と表明。「入院を通し、イタリアをはじめ多くの国で、人に施されている、高度な医療制度の重要性を実感した。誰もがアクセスできて、高度で、無償の医療制度という貴重な公共善を失わないように、維持していかなければ!」と訴えた。
また、聖母への祈りを捧げた後、7日にジョブネル・モイーズ大統領が暗殺されたハイチの状況に言及。「武器を放棄し、生命(の尊さ)を選択するように」と呼びかけた。
教皇は順調な回復の兆候を見せているが、退院の日はまだ公表されていない。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)