本会と聖エジディオ共同体 「アフリカのための共同アピール」発表

聖エジディオ共同体の現地医療スタッフは、ウイルスに関する正しい情報を人々に伝え、感染防止の啓発に努めている

立正佼成会と聖エジディオ共同体(本部・ローマ)は6月1日、「アフリカのための共同アピール」(英題=JOINT APPEAL for Africa)を発表した。

新型コロナウイルスが世界的規模で流行する中、特にアフリカの人々が置かれた困難な状況に警鐘を鳴らすとともに、パートナーシップ関係にある両団体が協力して支援にあたる意向を表明したもの。アピール文は庭野光祥次代会長とマルコ・インパリアッツォ会長の連名によるもので、両団体のウェブサイト上に掲載されている。

カトリックの在家運動体である同共同体は、祈りの精神を基盤に、国内外で社会的弱者への奉仕活動を展開している。また、諸宗教対話を促進するため、1987年から毎年、欧州各地で「世界宗教者平和のための祈りの集い」を開催。本会も同集いに毎年参加し、同共同体と交流を深めてきた。同共同体は、諸宗教対話による平和貢献が評価され、第16回庭野平和賞(99年)を受賞した。

2016年には、両団体のパートナーシップをさらに発展させ、貧困や搾取に苦しむアフリカの人々のために一層の協働を図る「フレンドシップ合意書」に調印。これを受け、両団体は「My TEDORI,My AFRICA チャレンジ!!」プロジェクトを始動させ、現在、マラウイで「HIV/エイズの治療促進」と「出生登録の推進」に取り組んでいる。また、アフリカの諸問題の解決に向けた国際会議「アフリカの新たなビジョン」を東京で2回開催した。

今回のアピール文では、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)によって最も苦しみを抱えているのがアフリカ大陸であり、人々は感染症に加えて、常に貧困に苦しんでいると指摘。豊かな国の人々がワクチン(接種)へと急ぐ一方、アフリカでは多くの場合、ワクチンそのものが手に入らない状況にあると訴えた。

また、コロナ禍の今、世界の人々は恐れと個人主義の感情を抱き、自分の中に閉じこもって、「他者は潜在的な敵であり、防御すべき感染源」という思いを強くしていると明言。パンデミックによって、利己的な態度がいかに多くの損害をもたらすか、利他的な態度がいかに癒やしをもたらすかが明らかになったとして、「このような困難な時代だからこそ、私たちは、他者のことを考え、他者のために行動することが一層重要であると確信しています」との見解を示した。

さらに、両団体が2016年に署名した合意書の精神を再確認したことにも言及。その具体的な取り組みとして、先進国に対し、ワクチンの公平な分配を目指す国際的な枠組み「COVAX」に資金を提供し、自国に備蓄しているワクチンの一部を譲渡することで、連帯を示すように訴えることを表明した。同時に、製薬会社には、一時的にせよ、特許規則を超えて、アフリカ向けのワクチン製造を認可するよう求める意向も示した。

その上で、「誰も一人では救われない、すべての人が同じ船に乗っている」と強調。アフリカに対する自らの取り組みへの決意を表しながら、世界のすべての宗教とすべての国に対し、「アフリカを忘れてはならない!」と呼びかけている。