バチカンがベサク祭に際して世界の仏教徒にメッセージ(海外通信・バチカン支局)

バチカン諸宗教対話評議会は5月26日、世界の仏教徒が「ゴータマ・ブッダ(釈尊)の生誕、悟り、入滅」を祝うベサク祭に際し、『仏教徒とキリスト教徒――配慮と連帯の促進』と題するメッセージを公表した。同祭を迎えて、「世界の仏教徒たちの心に、喜び、穏やかさ、希望がもたらされることを願う」と伝えた。

また、新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的流行)は諸宗教の信徒に、「人類家族に奉仕していくためには、新しい協力の道が必要であることを認知させた」と指摘。「誰も一人では救われない」という事実に気づき、「普遍的(世界的)な連帯が必要である」と訴えている。加えて、パンデミックによる苦の体験が、「私たちは共通の弱点を持ち、相互依存の関係にあることを気づかせた」と強調。「私たち(宗教者)は、それぞれの宗教伝統の中に秘められている連帯の精神を再発見し、実践していかなければならない」と呼びかけている。

さらに、仏教の「四無量心(しむりょうしん=慈悲喜捨)」にある「慈」とは「連帯と活動的 な(他者への)配慮」であると受けとめ、その精神が「仏教徒たちに、全ての生きとし生けるものに対して無量の愛を実践するよう促している」との思いを明示。この精神が基盤となり、パンデミックで生じた危機的状況が、「人類家族に奉仕する私たちの友愛の絆を一層強固なものにし、さらに対話の文化を歩むべき道として、相互協力を行動規範に、相互理解を方法と基準にしていくことができるように願う」と訴え、メッセージを結んでいる。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)