「志が育まれる苗代教育」第1回 国際的に活躍する人材を育成 大学生らが参加

根本主席

国際的に活躍する人材を育成する「志が育まれる苗代教育」(全10回、青年ネットワークグループ主管)の第1回が4月17日、オンラインで行われた。立正佼成会の国際活動に関わった経験のある大学生を中心に会員9人が参加した。

商品や資本、情報が国境を越えて激しく行き交い、ウイルスの脅威や地球温暖化など各国が共通の課題に直面している現代の状況を踏まえ、同教育では、自らが世界の一員であるとの自覚を深め、世界の苦を「自分事」として考え、行動できる人材の育成が目的。来年3月まで、新型コロナウイルスの国内の感染状況を見ながら、オンラインや対面での「集合教育」を実施する。その中では、国内外で活躍する識者を講師として招き、日本を含む世界の窮状や現在の取り組みなどを学ぶ。「対話実習」として、本会と交流のあるユニテリアン・ユニバーサリスト協会(UUA、本部=米国・ボストン)の青年との対話も企画されている。

第1回のテーマは『自分とセカイの間を知る』。アジア宗教者平和会議(ACRP)事務総長を務める根本昌廣時務部主席と和田惠久巳国際宗教協力専任部長(総務部副部長)が講師を務めた。

和田部長

本部の社会平和活動を担い、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)での勤務経験もある根本主席は、飢餓や貧困が原因の死亡者数や児童労働、難民に関する統計などで世界の現状を提示した。また、自身の支援活動の中で、1984年に干ばつに見舞われたエチオピアを訪れ、餓死していく子供たちを目にした時の経験を披歴した。悲惨な状況ゆえに、「同じ人間として目をつむるわけにはいかない」と自身に言い聞かせ、その思いを持ち続けて、平和活動に取り組んできた心情を語った。参加者には、「失敗を恐れずにチャレンジしていくことが大切です。それぞれの力は微力だけど、無力ではない」と国際活動にあたる意義を強調した。

次いで、和田部長を講師に『世界の苦に問いを立てる』と題したワークショップが行われた。和田部長は、人間関係における共感力の大切さに言及し、他者と自己とでは、ものの見え方や捉え方が違うため、相手がどう思うのかを想像して、他者と関わることが重要と話した。また、国際問題や世界的な課題に対しては、想定された解答を探すことが重要ではなく、現状の中で自ら問いを立てて思考を止めない姿勢が必要と述べた。

この後、参加者は、世界的に関心を集めている問題に対して、宗教者としてできることは何かを議論した。

最後に、事前課題として出されていた「あなたにとって答えの出ないこと」について意見を交わした。