欧州4カ国で新型コロナウイルスワクチンの接種が中止(バチカン記者室から)

英国のオックスフォード大学とアストラゼネカ社が共同開発した新型コロナウイルスワクチンについて、接種後に血栓や脳出血などの副作用の疑いが各国で報告されている。これを受け、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン各国政府は3月15日、このワクチンの使用を一時的に中断すると発表した。

イタリアのドラギ首相は、4月末までに一日に50万人にワクチン接種を行い、9月末までに80%の集団免疫を確立させる目標を掲げていた。これを実現するため、米国と同じように軍隊を動員。国を挙げてワクチン接種運動を推進し、多くの人が同社製ワクチンを接種した。これまでに4人が接種後、血液凝固症による脳血栓で死亡したと報告されている。

私事で恐縮だが、小生も3月15日午後にローマ・テルミニ駅前の大広場に設置されたテントで、同社製ワクチンを接種する予定だった。先の報道を耳にし、一抹の不安はあったが、ローマ教皇フランシスコやセルジョ・マッタレッラ伊大統領による「ワクチン接種は市民の倫理的義務」という主張を受け、接種を決意した。

また、自身が高齢者(77歳)であることも決断の背中を押した。同ウイルスに感染して病院の集中治療室で酸素マスクを着けるよりも、科学を信じ、多少の危険性があっても、免疫を獲得できる可能性が高いワクチン接種に自らの命を託そうと考えた。ましてや、イタリア国内での一日の感染者数が3万人に近づき、死者は300人を超えるという状況ではなおさらのことだ。