欧州4カ国で新型コロナウイルスワクチンの接種が中止(バチカン記者室から)

当日、覚悟を決めて、ロックダウン(都市封鎖)中の閑散としたローマ市内を横切り、予定より1時間早く駅前の大広場に到着した。会場の入り口では、15人ほどの列ができていた。受付に行くと、定刻に再訪するよう言われた。駅構内を30分ほど散歩して会場に戻ると、先ほどの人影はなく、入り口も閉鎖されていた。

困惑して通りかかった看護師に話を聞くと、今しがた同国医薬品庁(AIFA)から同社製ワクチンの接種を中断するよう指示が届いたという。(ローマのある)ラツィオ州保健庁からの連絡を待つよう言われ、仕方なく帰宅した。その道中、ラジオで冒頭の発表を聞いた。

その時、胸中には「脳血栓の危険を免れた」という安心感が湧いた。一方で、今年も復活祭(イースター、4月4日)は、昨年と同様にロックダウンの規制下で過ごさなければならず、無防備のままウイルスと対決しなければならないのかと不安が混じり、複雑な心境だった。

欧州医薬品庁(EMA)は3月18日、同社製ワクチンについて「脳血栓との因果関係については今後とも調査を続けるが、このワクチンは安全で効果がある」との判断を下した。この判断を受けてAIFAは、同ワクチンの接種を再開すると公表した。ラツィオ州の保健庁から早速、小生の接種日時の連絡が届いた。
(宮平宏・本紙バチカン支局長)