東日本大震災から10年 各地で慰霊と復興への願い
被災地域を包括する各教会の取り組み
釜石教会
“人に喜ばれる生き方を”
3月10日、教会道場と5カ所の地域道場で慰霊・復興祈願法要を厳修した。
各道場では、読経供養が行われ、震災で犠牲となった会員ら937人の戒名が奉読された。また、主任(58)による「追悼のことば」をビデオ映像で紹介。この中で主任は、津波の犠牲となった母に倣い、人に喜ばれる生き方をしたいと決意を述べた。
さらに、震災時以降の歴代教会長のメッセージ(代読)、橋本惠市教会長のあいさつが映像で流された。この日紹介された映像は、動画共有サイトを通じて会員に配信された。
石巻教会
“心に寄り添い、歩みを共に”
3月10日、教会道場を拠点に、動画を配信してオンラインによる慰霊法要を厳修した。
犠牲者の冥福を祈る黙とうの後、読経供養が行われ、会員、縁者996人の戒名が奉読された。続いて、亡き家族のために綴(つづ)った会員の手紙を青年婦人部長(50)と女性会員(40)が朗読し、サンガで思いを共有した。
この後、石森利江子教会長があいさつに立った。10年の歩みに触れながら、「今も苦しんでいる方の心に寄り添い、共に歩んでいきましょう」と語りかけた。
仙台教会
“今をどう生きるかが大事”
3月7日、教会道場で慰霊式典を行い、その様子を動画共有サイトを通じて会員にライブ配信した。
式典では、読経供養、女性会員(64)の体験説法に続き、小林克州元釜石教会長が講演。震災当時の会員の被災状況やサンガの支え合いなどを振り返りながら、「いのちを頂く私たちが今、どう生きるかが大事」と述べた。最後に近藤雅則教会長があいさつした。
11日には、宮城・名取市閖上(ゆりあげ)地区と山元町にある、同教会が包括地域内に建立した供養塔の前で慰霊供養が行われた。
原町教会
“思い出を胸に、今を懸命に”
3月10日、教会道場で慰霊供養を行った。同教会では東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、今も会員の7割以上が包括地域外で暮らす。当日は教会幹部が参加した。
式典では、読経供養が行われ、犠牲となった会員37人の戒名が読み上げられた。あいさつに立った庭野貴市教会長は、「故人との思い出を胸に、私たち一人ひとりが今を懸命に生きる。それが、犠牲となった命をたたえ、共に生きることになるのです」と語った。
式典後、全員で焼香し、慰霊の誠を捧げた。
磐城教会
“菩薩行の実践こそ供養に”
3月11日、教会道場で慰霊・復興祈願式典が営まれた。感染症対策として教会役員・幹部のみが参加し、他の会員には映像を配信した。
式典では、読経供養を通して犠牲者の冥福を祈った。続いて澤邉雅一教会長があいさつ。互いに支え合って歩んできた10年を振り返り、菩薩行の実践が犠牲者への供養につながると語った。この後、いわき市の豊間地区と小名浜港を訪れ、慰霊供養を行った。
また、少年部員たちは未来を想像し、短冊に「私のねがい」を記し、自宅のご宝前に供えた。
平教会
“宗教者として真心で慰霊を”
3月11日、教会道場での午前9時の読経供養で、犠牲となった会員、縁者ら44人の戒名が読み上げられた。参加した支部長らが故人に哀悼の誠を捧げ、その冥福を祈った。
12日には、教会長はじめ包括支部の会員らが、津波で大きな被害を受けた福島・楢葉(ならは)町の「天神岬スポーツ公園」、広野町の「震災記念公園」、いわき市の久之浜(ひさのはま)、平薄磯、平豊間の5カ所で慰霊・復興祈願供養を行った。慰霊供養の中で、髙橋秀典教会長は、「地域の方々が復興のために尽力してくださっている中、私たちは宗教者として、これからも真心で慰霊させて頂き、悲しみを抱える遺族や被災した家族に寄り添い続けていきたい」と語った。