WFPにノーベル平和賞 本会が國富理事長名で祝辞送る

コロナ禍の中、医療制度が脆弱な地域に、独自の輸送手段で医薬品や医師を送り届ける国連WFP ©WFP/Jama Hassan

今年のノーベル平和賞を国連世界食糧計画(国連WFP)が受賞したことを受け、立正佼成会は10月19日、國富敬二理事長名で祝辞を送った。

国連WFPは1961年に設立され、イタリア・ローマに本部を置く。国連で唯一の食糧支援機関であり、飢餓のない世界を目指し、学校給食を通じた栄養改善や持続可能な社会づくりに取り組む。紛争や自然災害といった緊急時の食糧支援も行う。

昨年は88の国と地域で活動を展開。このうち、59カ国で1730万人の子供に学校給食を提供したほか、気候変動の影響で農業生産が低迷するアフリカ南部で食糧配布や農地改良の支援に取り組んだ。

今年は、紛争が続くイエメンやコンゴ(旧ザイール)、ナイジェリアなどで新型コロナウイルスの感染が拡大し、深刻な食糧不足から飢餓が発生。感染防止のため各国で学校が休校となり給食の提供が停止する中、現地スタッフが各家庭を回って栄養補助食品を配布するなど、支援活動を強化している。こうした活動が評価され、今回の受賞につながった。

本会一食(いちじき)平和基金は、90年に同団体がブータンで行う「母子栄養改善プログラム」に資金助成を行って以来、30年にわたって協力関係にある。2008年から18年まで同国での学校給食プログラムを支援し、子供たちの栄養改善と就学率向上に努めてきた。昨年新たに、「ミャンマーにおける学校給食事業」がスタートした。

また、紛争や自然災害が起きた際には、同基金の浄財を同団体に寄託し、被災者や、難民、国内避難民を支援。今年6月には、新型コロナウイルスの被害への取り組みにも支援金を拠出している。

今回の祝辞では、国連WFPの長年の功績に敬意を表明。同ウイルスの感染が拡大する中で他の国連機関や各国政府と連携して食糧支援を実施し、国連WFPの輸送手段を生かして医療機器や医療従事者を送り届けたことで、「多くの人々のいのちが守られたことと存じます」と賛辞を送った。

本会も「一食を捧げる運動」の精神に基づき、「飢餓の撲滅と世界の平和に貢献できるよう努力し、皆様方との連帯を深めて参りたい」とさらなる協働への意思を表した。