戦後75年 広島、長崎で宗教者による慰霊式

8月8日、長崎県宗教者懇話会主催の「第48回原爆殉難者慰霊祭」が爆心地公園で営まれた(写真提供=本会北九州支教区)

立正佼成会の広島、長崎各教会では「原爆の日」に合わせ、慰霊式典がそれぞれ行われた。今年は新型コロナウイルスの影響で規模を縮小しての開催となったが、参加者は犠牲者に鎮魂の祈りを捧げ、世界平和の実現に向けて誓いを新たにした。

なお、「沖縄宗教者の会」(沖縄教会が加盟)が毎年、終戦記念日の8月15日に糸満市摩文仁(まぶに)の沖縄平和祈念堂で開催し、今年で30回を数える「祈りと平和の集い」は、同ウイルスの影響で中止された。

広島教会「広島原爆殉難犠牲者慰霊供養」

広島に原爆が投下されてから75回目の「原爆の日」となった8月6日、広島教会は教会道場で「広島原爆殉難犠牲者慰霊供養」を厳修した。今年は、新型コロナウイルスの感染を防止するため、会員が一堂に会することを避け、式典の様子をウェブ会議システムで配信。会員たちは自宅で映像を視聴し、犠牲となった人々に慰霊の誠を捧げた。

原教会長を導師に読経供養が行われ、戦争犠牲者に慰霊の誠が捧げられた(写真提供=広島教会)

式典では、NPO法人「ヒロシマ宗教協力平和センター」(HRCP)の上田知子理事長が『被爆75年目の朝に』と題するメッセージを発表。続いて、読経供養が行われ、導師をつとめた原章雄教会長が回向文を奏上し、焼香した。

あいさつに立った原教会長は、戦後75年が経った今もなお、核廃絶が進まない世界の現状に触れ、平和の尊さや「二度と戦争を起こさない」との誓いを多くの人々に伝え続けることが一層大切になると語った。

さらに、紛争は人間の心に湧く恨みや妬(ねた)み、憎しみといった感情が根本になって生じると指摘し、菩薩行の実践を通してそうした感情を取り去り、平和の心を育んでいくことが重要と強調。世界平和の実現に向け、「まず、私たちから精いっぱい、菩薩行の実践に努めさせて頂きたい」との願いを述べた。

長崎県宗教者懇話会「第48回原爆殉難者慰霊祭」

長崎県宗教者懇話会(長崎、佐世保、諫早3教会が加盟)主催による「第48回原爆殉難者慰霊祭」(主管・長崎県明るい社会づくり運動推進協議会)が8月8日夜、長崎市松山町の爆心地公園で営まれた。50人の宗教者と各信徒を合わせた80人が出席。本会から久井快哲佐世保教会長(同懇話会会長)、岩元良彰長崎教会長、松本匡代諫早教会長が参列した。

例年は県内外の宗教者や市民など約1000人が参列しているが、今年は新型コロナウイルスの感染防止のため、規模を縮小して行われた。

当日は、日本聖公会長崎聖三一教会の柴本孝夫司祭による「お清めの儀」に続き、金光教長崎教会の大淵光一郎教会長が、のどの渇きにあえぎ水を求めて亡くなった原爆の犠牲者に思いを寄せ、献水した。

次いで、カトリック長崎大司教区の髙見三明大司教が「慰霊の言葉」を読み上げた。髙見師は、原爆犠牲者に哀悼の誠を捧げるとともに、今も戦火が絶えない世界の状況に触れ、平和を実現するには武力に頼ることなく、人間同士が尊敬と信頼に基づく関係を築かなければならないと強調。その上で、「どんなことがあっても、どんな理由があっても、戦争を繰り返さないと固く決意をし、この決意を、原爆と戦争の犠牲となられた方々のみ前に謹んで捧げます」と述べた。

この後、原子爆弾落下中心地碑に向かって全員が黙とうし、献花した。

翌9日には長崎教会で「原爆犠牲者慰霊供養」が規模を縮小して行われ、教会役員など12人が参列した。