新宗連がオンライン学習会 政府の緊急経済対策と政教分離原則の理解深める

講師を務めた石村白鷗大学名誉教授(「Zoom=ズーム」の画面から)

新日本宗教団体連合会(新宗連)の信教の自由委員会と宗教法人研究会は8月6日、オンラインによる学習会を行った。テーマは『政府のコロナ対応緊急支援策と「政教分離」・「信教の自由」――宗教法人の助成金・給付金・協力金受給の課題』。加盟教団の代表や職員ら約60人が参加し、立正佼成会から柿澤伸光総務部次長(渉外グループ)が出席した。

当日は、広島原爆忌にあたり参加者全員で犠牲者への黙とうを捧げた後、白鷗大学名誉教授の石村耕治氏が講演した。

石村氏は、新型コロナウイルスの感染拡大で経営に大きな影響を受けている中小事業者に対し、政府や自治体による緊急経済対策として雇用調整助成金、持続化給付金、自治体休業協力金などが支給されているが、雇用調整助成金や税制特例措置といった一部の支援を除き、宗教法人はその対象から外されていると指摘。これは、宗教法人への公金の支出が憲法89条に定める「政教分離原則」に反する疑いがあるとの見解からなされていると説明した。

一方、持続化給付金の支給対象には、法人税法で規定する「公益法人等」が含まれているにもかかわらず、宗教法人だけが対象外となっている点に言及。これは憲法が定める「政教分離原則」の厳格な適用だとしても、対象外とする理由が、公益法人等の「地位または性格(宗教であるかどうか)」によるものであれば、「宗教」を理由とした差別的な扱いとも考えられ、信教の自由を保障する憲法20条に反する可能性があると述べた。

持続化給付金を巡っては、宗教法人の多くは小規模であり、コロナ禍で国民生活が安定しなければ大きな影響を受け、存続を危ぶまれる宗教法人もあるため、日本宗教連盟(日宗連)から政府に宗教法人も支給対象とするよう要望が出ていた。これに対し、宗教界の一部からは、「政教分離原則」に基づいて給付金適用に反対の意見も上がっていた。石村氏は、こうした一連の動きに触れ、政府への要請は、困難な状況にある小規模な宗教法人が事業を継続するための「緊急的なもの」と理解して、宗教界は柔軟に対応する必要があるとの見解を述べた。