庭野平和財団連続セミナー『新型感染症が与える影響と市民社会』 第2回は助成機関の立場から報告

中央共同募金会の阿部氏(左下)と全国コミュニティ財団協会の石原氏(右下)が講演。進行役はIIHOEの川北氏(右上)が務めた。左上は庭野平和財団の高谷忠嗣専務理事(「Zoom=ズーム」の画面から)

『新型感染症が与える影響と市民社会』と題した庭野平和財団のオンライン連続セミナーの第2回(全4回)が7月15日に行われ、60人が参加した。

今回は、社会福祉法人「中央共同募金会」の阿部陽一郎理事、一般社団法人「全国コミュニティ財団協会」の石原達也常務理事が講演。生活困窮者の支援や社会的課題の解決に取り組む団体に助成する機関の立場から、新型コロナウイルス禍の影響と対応を報告した。IIHOE「人と組織と地球のための国際研究所」の川北秀人代表が進行役を務めた。

この中で阿部氏は、日本の子供の7人に1人が貧困状態にあり、3月に全国で臨時休校措置が取られて給食もなくなった際には、子ども食堂や社会福祉協議会をはじめ地域の団体が連帯し、子供の「食」に関する活動に取り組んだと説明。子供たちへの支援は全国に及び、緊急を要したため、中央共同募金会もこの動きに連動して緊急支援として助成を開始し、市民への寄付の呼び掛けは助成後の「後追い」で実施したと報告した。

また、社会的に弱い立場にある人や経済的に厳しい人への支援の現場では、感染防止のために対面での相談や援助ができなくなっており、同募金会は各団体が受益者と新たなつながり方を構築するなどの助成として社会福祉活動応援の全国キャンペーンを開始したと紹介。初めて他財団と協働し、外国にルーツがある人を支援する団体への助成にも取り組んでいると語った。

一方、公的サービスの充実とともに、地域の課題を市民の力で解決する社会を目指す全国コミュニティ財団協会の石原氏は、コロナ禍で地域社会が抱える問題を挙げながら、地域のニーズに合わせた支援の重要性と、それを担う諸団体の役割の大きさを強調。「NPOや地域を支える団体が解散や事業停止になると、その支援を頼りにしていた方々は、居場所や依りどころを失うことになります。新型コロナウイルスの影響を受ける方が増えていく中で、受け皿がなくなるのは恐ろしいこと」と述べた。

その上で、同協会では、各地のコミュニティ財団やNPO支援センター、地域づくり支援センターと連携して「47コロナ基金」を創設したと発表した。これは、同協会が目指す“地域性”と“市民性”を軸にした、住民有志によるボトムアップ型の基金であり、地域の課題に取り組む団体と応援する人をつなげていると説明。「令和2年7月豪雨」で甚大な被害を受けた熊本県では、47コロナ基金で構築した知識や経験が水害支援基金の設立に役立ち、被災者を支援する団体に迅速に助成できているとし、支援団体間のより一層の連携や情報共有の必要性を感じていると述べた。