六花の会が仏教経営者塾をオンラインで開催

ウェブ会議システムを用いて行われた「仏教経営者塾」

仏教精神を生かした経営を目指す立正佼成会の会員有志によるネットワーク「六花(りっか)の会」が7月18日、「仏教経営者塾」を開催した。

同会はこれまで、同じ生活圏内の経営者同士をつなぎ、地域ごとに会合の場を設けてきたが、今回は新型コロナウイルスの感染防止のため、ウェブ会議システムを用いて実施した。全国の経営者の交流を目的とし、45教会から経営者、個人事業主の会員87人が参加した。

当日は、昨年10月27日に豊島教会で行われた東京中央支教区「六花の会」の同塾の席上、講師を務めた島田華代南多摩教会長の講話の映像を視聴。この時、島田教会長は、織物会社を設立した父親の体験を発表した。

島田教会長の父親の会社は一時、取引先からの手形が不渡りとなって経営危機に陥り、全国版の業界紙に「倒産か?」と報道された。本会会員だった父親がこのことを庭野日敬開祖に相談すると、庭野開祖は、業界紙に報じられるまでに会社を発展させた父親の努力をたたえた上で、今回は会社を「全国に無料で宣伝してもらえたんだ」と励ましの言葉を送った。また、不渡りを出すほど窮地に陥っている取引先にも心を配り、教えを伝えて救いの手を差し伸べていくようにと指導した。父親が実行すると、その後、業界紙の報道で父親の会社の存在を知った企業から仕事が舞い込むなどして事業が好転し、経営危機を乗り越えることができた。島田教会長は一連の出来事を説明した上で、このエピソードから、苦しみは自分の仏性を磨くためのはからいと捉え、逆境を感謝の心で受けとめて前向きに努力する大切さを教えられると語った。

この後、意見交換の時間が持たれ、参加者はグループに分かれて講話の感想を発表し、同ウイルスによる経営への影響について話し合った。この中で、茶の小売業を営む静岡教会の男性は、今年5月1日の「八十八夜」に予定されていた新茶のイベントが軒並み中止となり、販売のチャンスを失って落ち込んだと自身の心境を吐露。講話を通じ、経営者は物事を悲観せず、前向きに捉えることが大切だと気づいたと話し、「今回のイベントの中止は、お客さまにより一層喜んで頂くために、『自分たちにできることは何か』と考えるきっかけを頂いたのだと受けとめたい」と決意の言葉を口にした。

同塾の終了後、参加者の一人で、経済専門紙の社長を務める所沢教会の男性会員(66)は、「経営者は皆孤独で、重要な決断を迫られる過酷な日々を過ごしています。六花の会には、そうした心中を分かり合える仲間が集っています。仏教精神を生かした経営について学ぶとともに、互いの心を支える大事な役割も担っている会です。私自身、今日は久々に仲間の元気な顔を見てホッとしました。明日からまた頑張ろうという前向きな気持ちになりました」と語った。