大聖堂で「朔日参り(布薩の日)」のご供養 光祥次代会長が全国の会員に向けてあいさつ

読経供養の後、会員に向けてあいさつする光祥次代会長

7月1日、大聖堂(東京・杉並区)の聖壇で「朔日(ついたち)参り(布薩=ふさつ=の日)」のご供養が行われ、その様子が動画投稿サイトを使って公開(会員限定)された。当日は、読経供養の後、導師をつとめた庭野光祥次代会長があいさつ。新型コロナウイルスが世界的に流行する混乱した世の中で、「私たち信仰者はどのように生きていくのか」について述べた。

この中で、光祥次代会長は、フランスの作家アルベール・カミュの『ペスト』に触れ、「ペスト」とは単に一つの感染症でなく、大災害や他の病気などによる避けがたい苦しみ、罪のない人の死、世の中にはびこる不正といった「不条理」(納得のいかない苦しみ)のすべてを表しているとの感想を持ったことを詳述。人生は自身の力では避けることができない「不条理」に満ちており、それは釈尊が悟った「一切皆苦」に通じると述べた。

そうした「不条理」は、時に人を介して“感染”することがあるとし、社会で認められず、無視をされるなどでつらい思いをしている人が、そのはけ口を何の関係もない人に向ける場合があると話した。

その上で、立正佼成会では伝統的に「因縁を切る」という修行を大切にし、多くの会員が自身の受けた悲しみ、苦しみを子や孫、他人に味わわせないようにとの思いで、教えの実践に励んできたと説明。「世界は、すべて因と縁でできていますから、本当は完全に『因縁を切る』ことはできないのかもしれません。でも、マイナスの方向に回っていた歯車を、ここで、私のところで終わらせる、ということなら、できるかもしれません。それが『因縁を切る』ということであり、そして、可能であれば、それをプラスの向きに変える。それが菩薩行なのだと思います」と述べた。

さらに、その一例として、「オレオレ詐欺」に遭いそうになった女性会員のエピソードを紹介。息子を騙(かた)って金銭を求めてきた上、正体が明らかになった後に罵声を浴びせてきた男性に対し、会員は「あなた、こんなことしてちゃだめよ! 一生懸命生きるのよ! 真面目に生きれば必ずいいことがあるから! 応援しているからね!」と励ましの言葉を送ったという。

光祥次代会長は「私たちの人生の中には、いじめや暴力、不機嫌、不信や裏切り、差別など、さまざまな目に見えない心の『感染症』が存在しています。そういう出来事や人に出会ったときに、それを撒(ま)き散らすことなく、自分のところで因縁を切る。そして、できればプラスに変えていくような、そんな生き方がしたい。口のマスクだけでなく、必要があれば心にもマスクをして感染を広げない。そして、そのマスクの下から温かい言葉がかけられる私でありたい」と語り、コロナ禍をサンガで支え合って乗り越えていきたいと述べた。